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コロニア文芸賞=鈴木正威氏が栄誉の受賞=選考委員、顕彰賞も

ニッケイ新聞 2008年11月12日付け

 二〇〇八年度コロニア文芸賞の受賞式が文協貴賓室で七日午後七時過ぎから開かれ、多くの来賓を始め、関係者ら約百五十人が出席した。
 栄誉あるコロニア文芸賞を受賞した鈴木正威氏の『鈴木悌一 ブラジル日系社会に生きた鬼才の生涯』のほか、移民百周年を記念し、記念誌賞に『ブラジル日系老人クラブ連合会 30年のあゆみ』、選考委員会賞に林良雄さんの『開拓』が選ばれた。
 なお、二十五年以上発行を続ける『椰子樹』『朝蔭』『ブラジル日系文学』『のうそん』『ブラジル老壮の友』に顕彰賞が与えられた。
 開会の言葉として上原幸啓文協会長、後藤猛在聖領事の祝辞の後、文芸賞選考委員会(遠藤勇委員長)の中田みちよさんが選考経過を報告、「二十二応募作品を九人の選考委員で選んだ。文章や構成力のうえで、鈴木氏の作品が満場一致で決まった」と話した。 
 受賞した鈴木さんは、コロニア初の実態調査実施、日本文化研究所を設立した鈴木悌一の業績を挙げ、「困難な課題に命を賭けるエリート。その遺志を受け継ぎ、コロニアに寄与できれば」と話した。
 マッケンジー大学の学生で友人代表としてあいさつに立った古杉征巳さんは、「大変な資料収集、地道な研究活動に基づいて書かれた受賞作品は、コロニア史に残る貴重なもの」と受賞を喜んだ。
 安良田済さんが乾杯の音頭を取った後、出席者らが受賞者を囲んだ歓談の輪が出来た。
 鈴木悌一の娘で日本文化研究所の所長も務めた妙さんは、「コロニアの歴史と父の評伝を巧く併せて描かれており、非常に読みやすい作品。私も勉強になった。心からお祝いしたい」と笑顔を見せていた。

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