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兵庫県若手農業研修=日本人への優しさ感じた=挑戦と感動、感謝の2週間

ニッケイ新聞 2008年11月15日付け

 県が実施し今年で第三十一回目となる兵庫県若手地域農業リーダー育成研修海外派遣団(北本暢男団長)の十四人が今月一日に来伯。二週間弱の研修を終えて、帰国日の十三日に行われた記者会見でそれぞれの実り多き収穫を報告した。「帰国して、身に付けたことをどう飛躍させてゆくか。今後のテーマです」と北本団長(49)は力強く話し、一行は帰国の途についた。
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 今派遣団のメンバーは、北本団長と副団長の西谷学教論(39)を始めとし、早くしおれる軟弱野菜や水稲栽培をしている楠本修吾研修生代表(22)と農業大学生二人、農業高校生九人。一行はブラジル農業の視察を主にし、ブラジル人や日系人、兵庫県人会の人たちと交流した。
 楠本さんは、「来伯前は無知でこんなにも日系人が多いなんて知らなかった。そしてこんなに日本人に優しくしてくれる国は他にないんじゃないかと思うくらいみんな優しかった」と充実した顔で話していた。
 初日は芳賀農園を見学。二日目からポンペイアの西村農工学校で二泊三日の体験入学をした。学生寮に寝泊りし、家畜の屠殺解体を見たり現地の学生らと作業したり、「ジェスチャーを交えて積極的に話しかけてくれたり良くしてくれた」と増田みきさん(18、大学一年)。温かい交流に感動し、ブラジルが好きになったという。
 続いて向かった兵庫県の姉妹州、パラナ州マリンガでは、それぞれ日系人の家庭に三泊ホームスティし、農場やバイオエタノール工場の見学などをした。北本団長は、「味噌や醤油、納豆、豆腐などをホームスティ先の方が作っているのに非常に驚きました。味噌汁は出汁がよく取れていて美味しかった」。
 九日にクリチーバのブラジル兵庫県連絡事務所を訪問し、同文協の学生と交流会がもたれ、十日からイグアスの滝、リオと観光をしたという。
 楠本さんは最後に、「絶対また来ます。農業も見たいし、人生に行き詰まったら」と笑い、「でもここの人たちを見たら、元気付けられる」。
 北本団長は、「総括するとしたら、挑戦と感動、感謝の旅でした。今後、帰ってレポートを書くだけでなく、この経験を飛躍させてゆきたい」と、抱負を語った。

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