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コラム オーリャ!

ニッケイ新聞 2008年12月4日付け

 サンタカタリーナ州の水害の報道に接していて、被害を受けたはずの被災者の言葉から、逆に慰めを貰うことがある。
 例えば、水害で自宅や家族を失った女性は、「救援活動を手伝っていると、悲しみが薄らぐ」と避難所で暮らしつつ、救助隊員用の食事の準備を手伝う。イタジャイ市では、浮浪者が「家のないのは自分も同じ」と食料品セット作りに参加。救援物資山積みのサンパウロ市赤十字では、食料品や衣類の分類などの仕事が山積みなのを見て、「居てもたってもいられない」と手伝い始めた人も。
 ボランティアが減り始めた時に飛んで来た外国人ボランティアや、避難所で「新しい家族が出来た」と笑う被災者に、「私達はみな同船者」との記事中の言葉が蘇る。現地へも飛んで行きたいのに、飛んで行けないという葛藤の中、被災地の回復と慰めを遠くサンパウロ市から祈るばかりだ。 (み)

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