ニッケイ新聞 2008年12月19日付け
【藤崎康夫=東京支社長】十八日午後二時三十分から東京都・三田共用会議講堂において、日伯交流年実行委員会第三回総会が開催され、麻生総理大臣のメッセージが代読され、その後、中曽根外務大臣主催の閉幕パーティも行われ、「両国関係を新たな高みに引き上げる取り組み」への意気込みが語られた。一年にわたって五百ものイベントや事業を実行した、日本側のブラジル日本移民百周年および交流年のイベントや事業は無事に閉幕した。
最初に槍田松榮実行委員長から「日本ブラジル交流年が大きな成功をおさめることが出来たのは、一重に同実行委員会の幹事、委員の支援のたまものであった」と謝辞が述べられた。
同総会に出席できなかった麻生総理大臣(同委員会名誉会長)メッセージを同会佐藤事務局長が、次のように代読。
四月に東京で天皇皇后両陛下と皇太子殿下の御臨席を得て、記念式典が挙行されたが、両陛下と皇太子殿下が一つの式典揃って御臨席されるのは、戦後では愛知万博とこの式典のみであった。また日本からは三権の長が揃って出席し、ブラジルからはルーラ大統領の名代としてロウセフ文官長が出席されたことなどと述べた。
また六月のブラジル各地の式典には、皇太子が御臨席されたことが報告された。記念行事は日本側だけでも約五百、ブラジル側と合わせれば、一千五百を優に越えたことも総括報告された。
日伯関係がとみに緊密化している背景には、国際情勢の中でブラジルが存在感を増していることや、ブラジルにおける約百五十万人の日系社会の存在と、三十二万人を数える在日ブラジル人による人的交流の大きさが語られた。
さらに麻生総理は「今年、日伯交流年を推し進めて我々に期待されるのは、今後の両国関係の緊密化を一層加速化し、また、それがさらに豊かなものに発展していくように取り組んでいくことだと思います」とのメッセージで締め括った。
総会に出席した同委員会特別顧問カストロ・ネーベス大使は、「日本には三十万以上のブラジル人がいます。彼らは、彼らの先祖同様、遠い距離を渡って、両国の間に大きな橋を渡しました」と述べ、日伯関係が新た時代に迎えたことを指摘。さらに「ブラジルと日本両国には、気候変動や共同開発など、共に取り組んでいる問題あります。今後は、さらに各分野で具体的な取り組みを通して、両国の生活向上を目指すことが、大切だと思います」と語った。
日伯両国の新時代の到来を告げる総会には、河村建夫内閣官房長官(実行委員会名誉副会長)をはじめ、同実行委員会に加盟する企業や自治体など約百団体から、約百三十人が出席した。
総会終了後、中曽根弘文外務大臣主催による日伯交流年クロージング・レセプションが開かれた。中曽根大臣は、日伯交流に貢献のあった関係者に感謝し、両国関係を新たな高みに引き上げるべく取り組みを続けることが重要で、政府としても最大限に努力するとの表明が行われた。