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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年12月24日付け

 二十二日夜、「ブラジルにおけるフランス年」開幕イベントが、サルコジ仏大統領とルーラ大統領の出席のもとリオで盛大に開催された。これを持って、実質的に「日伯交流年・日本移民百周年」はブラジル政府の視野から消え去った▼この切り替わりには、交流年以上の変化が底流に込められている。G20会議の流れや、今回調印する仏の原子力潜水艦などの技術協力を見ていて、世界恐慌の荒波を乗り切るパートナーに、EUの代表国フランスを選んだという印象を受ける▼もっとも本来は〇八年が「フランス年」だったのを、移民百周年に集中するために一年ずらした経緯がある。開幕イベントがこの時期に重なったのは、偶然に過ぎない▼ブラジルは中南米など新興国を団結させて「金融の新世界体制の一軸」になることを目指している。だが、日本は対米追従するばかりで、いかにも頼りない▼また、世界のトヨタが六十七年ぶり、一九四一年以来初の営業赤字予想を発表した。朝日新聞二十二日付けによれば「世界の株式市場の株価が〇八年の一年間でほぼ半減する見通し」とある。なかでもアイスランドは九九・三七%下落だというから、まさしく〃紙くず〃だ。「百年に一度の危機」という言葉が重くのしかかる▼米ニューズウイーク二十日付け特集「世界のグローバルエリート五十人」の一位はオバマ次期米大統領で、ルーラ大統領も十八位に入ったが、麻生総理は最後まで出てこない。そして二位は中国の胡錦濤国家主席だ。思えばルーラ大統領が就任した〇三年から小泉、安倍、福田、麻生と四総理目。きっと、国際社会が名を憶える間もないのだろう。(深)

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