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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年1月23日付け

 日本から嬉しい便りが届いた。〇五年に研修記者をしていた秋山郁美さんが昨年末に第二子、美和クリスチーナちゃんを無事に出産した。難病だった父親に孫の顔を見せようと、渡伯前からつき合っていた日系ペルー人男性と帰国後すぐに結婚し、第一子を出産。念願だった孫の顔を見せ、父親を看取った。珍しい親孝行だ▼彼女は現在、日本一のデカセギ集住地・愛知県に住んでいることもあって、子育てに忙しい中、地道に在日ブラジル人コミュニティの取材をし、今も通信員としてレポートを送ってくれる▼ニッケイ新聞では二つの研修記者制度が平行して行われている。一つは、前身である日伯毎日新聞時代から続いている日本ブラジル交流協会からの学生の受け入れで、同協会第一期が存続した二十五年間ほぼ毎年一人受け入れ、約二十五人が旅立った。OBはコロニアでの経験を叩き台にして読売新聞、朝日新聞、北海道新聞など名だたる報道機関に入社し、がんばっている▼今年帰国した朝日新聞南米特派員の石田博士記者もその一人だったし、高知新聞から異例の八カ月もブラジルに特派され、昨年の日本メディアとしては最長となる日本移民連載を書いた富尾和方記者もそうだ▼それに加え、もう一つの前身パウリスタ新聞が独自に九〇年から始めた研修記者制度もある。三十人近くが数年間コロニア経験を積み、日本に戻った▼このように編集部から巣立った人材が日本のそれぞれの場で活躍し、日系社会の姿を自分の言葉で日本に伝えてくれているのは、本当にありがたいことだと思う。手前味噌で申し訳ないが、これもまた日ブラジル人材交流の一端だ。(深)

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