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「みやび」5月に新装開店=大竹ルイ氏内装で話題に

ニッケイ新聞 2009年2月18日付け

 パウリスタ大通り沿いで、在聖総領事館も入居するトップセンタービルにある、割烹「みやび」が五月に移転する。ビル運営会社の方針で下三階部分がショッピングセンターに改装されることになり、現店舗を三月末に一旦閉鎖し、一階(日本の二階)に移動して五月に新装開店する予定。ここは丹下セツ子さん、原口雅信さん、孝橋三男さんの共同経営だ。
 丹下さんは「もしかしたら六月にずれ込むかも」という。すでに改修工事が始まったため、パウリスタ大通り側から店に降りる階段が閉鎖され、入り口はビル裏側だけになっている。
 新店舗の内装設計は大竹ルイ氏が担当する。母で有名な造形作家・大竹トミエさん譲りのモダンアートのようなセンスで、スイカを切ったような独特の形をした建物や、全体が真っ赤なホテルなど斬新な作品で有名、ブラジルを代表する建築家の一人だ。今まであまり内装を手がけておらず、受けたこと自体が珍しい。
 丹下さんは打ち合わせの時、「こんなんなったらイヤだよお」と腕をクネクネさせて、大竹さんに「純和風で」と注文。内装工事の仲介者は「そんなことを彼に言えるのは丹下さんだけです」と苦笑いしたという。
 日本からの口の肥えた客が入っても違和感のない、伝統的な割烹の味を守っていることで定評がある同店と、モダン建築の雄という組み合わせは一見奇異に見える。が、実は大竹さんは昔からの常連なのだという。
 いつも闊達な丹下さんが「今までの人生ずっと忙しくしてきたから、いきなり二カ月も店に行かないなんて初めて。どうしていいか分かんないよ」と珍しく弱った様子を見せると、常連客は面白がって「せっかくの機会。旅でも」と勧めるが、本人は気もそぞろ。「それどころじゃないわよ」と新店で頭を悩ませている。

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