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デカセギ子弟らの転出入=長野県の公立校で頻繁に

ニッケイ新聞 2009年3月11日付け

 【信濃毎日新聞】長野県内の公立小中学校でブラジル国籍の児童・生徒の移動が激しくなっていることが九日、県教委の調査で分かった。保護者が仕事を失って転出したり、授業料がかかる母国語教室に通えなくなって転入したりしているためだ。
 調査は、日本語指導教室を設置していたり、支援のために教員を多めに配置していたりする小中学校計四十九校を対象に実施。昨年五月一日で計四百八十人いたブラジル国籍児童・生徒は、今年一月二十三日までに八十六人が転入する一方、百十一人が転出し、計四百五十五人に減った。
 転出理由は、親の仕事の都合が五五%、ブラジルへの帰国が三八%、ブラジル人学校への転校が五%など。転入も親の仕事の都合が六六%で最も多く、ブラジル人学校からの転校は二九%。ブラジルからの入国は三%にとどまった。
 これに対し、県内自治体や企業でつくる外国籍児童支援会議事務局によると、県内十校のブラジル人学校では、生徒数が昨年五月の計五百四十八人から今年二月は計二百五十七人に半減。理由は「帰国」が六八%と最も多く、どの学校にも通っていない「自宅待機」が二二%、公立小中学校への転校が五%などだった。
 春原直美事務局長は「子どもの学習する権利を守るためにも、安定した雇用の場を用意したり、外国籍児童への援助金を国が負担したりするなど具体的な支援策が必要だ」としている。

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