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マルシアさんと「上を向いて歩こう」の作曲家・中村八大さんの息子、中村力丸さん
マルシアさんと「上を向いて歩こう」の作曲家・中村八大さんの息子、中村力丸さん

国際交流基金「リオから東京へ」=五輪向けの大型文化事業=美術展、映画祭、コンサート

 【東京支社発】リオ五輪を盛り上げるために7月から8月にかけて、リオデジャネイロ市で美術展や映画上映、コンサートなどの記念イベントを開催すると、国際交流基金は16日に東京の同本部で記者懇談会を開いて発表した。前回の東京五輪時代(1964年)前後に活躍したアーティストの作品を中心に展開し、2020年の東京五輪に向けた機運の高揚の一助となることを目指す。

 日本時間の16日午後4時から東京で行われた懇談会で、歌手のマルシアさん(三世)は「このようなお話を頂き、両国の懸け橋となれることに感謝しています」と喜びのコメント。昨年の日伯外交樹立120周年でも「親善大使」だったが、今年も大役を背負う。
 さらに「今回は改めてポ語版『上を向いて歩こう(Olha pro ceu)』の歌詞を書かせて頂き、今年日本に来て30年というタイミングで、ブラジルにも恩返しができるのではないかと思います。ブラジルで、私はあえて日本の歌を歌います。そのことで、皆さんの記憶に残るものになれば」と懸け橋としての熱い思いを語った。
 基金が企画したのは、美術展、映画祭、コンアートの3文化事業。
 一つ目は、日本の戦後美術史に焦点を当てた美術展「コンテンポラリーの出現・日本の前衛美術、1950-1970」。7月14日~8月28日、パソ・インペリアル美術館(Praça XV de Novembro, 48, Centro – Rio de Janeiro)で開催。東京五輪などの社会現象に触発され、64年前後に日本ではアーティストや建築家が新たな作品を生み出した。同様に劇的な変化を迎えるリオ市で、当時の状況を振り返る。
 二つ目の映画祭は「中平康監督特集」。7月27日~8月1日の4日間、リオ市国立ブラジル銀行文化センターで同監督の8作品を上映。サンパウロ市のブラジル銀行文化センター(Rua Primeiro de Março, 66, Centro Rio de Janeiro)でも8月3日~8月8日に上映。
 上映作品は「狂った果実」「夏の嵐」「誘惑」「その壁を砕け」「猟人日記」「砂の上の植物群」「月曜日のユカ」「黒い賭博師」など。東京五輪の年に上映された3作品を含む。
 三つ目の日伯共同制作ポップスコンサート「上を向いて歩こう~Olha pro ceu」は7月29日~30日の午後8時半に開演。会場はヴィーヴォ・リオ(Avenida Infante Dom Henrique, 85, Rio de Janeiro,RJ)。出演は日本から歌手マルシアさん、東京スカパラダイスオーケストラ、ブラジルからは「歌姫」ヴァネッサ・ダ・マタさん、当地ラップ界を代表するエミシーダ。特別ゲストでリオ市の貧民街の子供たちに無償で英語・音楽教育を行うNPOファベーラブラスが参加し、「上を向いて歩こう」をテーマに音楽を通じてリオ市から東京、世界にメッセージを届ける。


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 国際交流基金のリオ五輪イベントに出演する東京スカパラダイスオーケストラ。去年の11月20日にも来伯し、「ファベーラ・ブラス・プロジェクト」に金管楽器を教えるワークショップを行っていた。その時も子供たちに楽曲「上を向いて歩こう」を教えて、共演した。今回のコンサートで収録する「Olha pro ceu」はCDとして当地で発売される予定。

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