ホーム | 日系社会ニュース | 「社風は日本文化の勤勉さ」=ウジミナス=社長が新ロゴマーク披露=世界不況で難局に直面=「生産能力50%のみ稼動」

「社風は日本文化の勤勉さ」=ウジミナス=社長が新ロゴマーク披露=世界不況で難局に直面=「生産能力50%のみ稼動」

ニッケイ新聞 2009年3月19日付け

 日伯合弁プロジェクトとして一九五八年に設立され、南米屈指の鉄鋼会社に成長したウジミナス社が、ロゴマークの変更と金融危機後の会社の方針を説明するため十八日午前、サンパウロ市のイビラプエラ公園内の同劇場で記者会見を行った。マルコ・アントニオ・カステロ・ブランコ社長は、日本との関係を含め、一時間以上に渡って新方針を記者団に説明し、熱心な質疑応答が行われた。世界的不況下で国内需要、輸出とも激減し、今年の第1四半期は生産能力の五〇%のみ稼動という厳しい状況下にあるが、「年末までに回復基調に入って欲しい」と期待をこめて語った。

 「日本文化の影響を強く受けている」。ブランコ会長は、そう社風を説明し、特に「カプリッショ」(献身、努力)に特徴があり、製鉄所に花を植えたり、植樹したりと実例を挙げた。
 今会見の中心テーマである新ロゴマークに関しては、単純にして強い印象を与えることを企図し、多様なサービスをする同社を象徴して、あえてロゴの色を決めず、その場に応じて変えていく方針。昨年六月から検討が開始されたという。
 総額で三千万レアルのキャンペーン費用を見込んでおり、今回の発表イベント関連だけで四百万レアルを投入する。
 ウジミナス社は、五六年にブラジル政府から日本に製鉄所建設協力の申し入れがあり、五八年に会社設立、六二年に第一高炉に火入れされた。日本から鉄鋼関係の駐在員がたくさん来伯し、移住者も深く関わった。また、初代から三人は日本人が社長を務めた所縁が深いブラジル企業だ。
 現在では、高級鋼を中心とした一貫生産が可能な南米屈指の製鉄会社に成長し、同社広報によれば、昨年は南米で二十三番目の企業になった。
 質疑応答で、記者団からの質問は、世界不況への対応に終始した。同社長は「ロゴマークを検討している間、世界情勢は大きく変わった。その変化に対応していかなければ」と語り、社内から一万二千件の改良アイデアを募集したという。
 急激な収入減少に対応し、十二億レアルの経費削減、全社挙げて効率化、統合化に取り組んでいる。三万人の社員のうち二月までに七百人を解雇したと説明した。
 需要の落ち込みにより、イパチンガの高炉二基、クバトン一基をとめており、生産能力の半分しか稼動させていないことを明らかにした。昨年の粗鉄生産量は約八百万トン。今年の見通しは一〇~一五%減の七百万トンだが、「これより落ちる可能性もある」とも。
 会見後、ニッケイ新聞の取材に応え、ブランコ社長は「日本文化はウジミナスにとって非常に重要だ。弊社が社風とする細部にまでこだわる取り組み、勤勉さなどは日本の伝統から来たものだ」と強調した。

image_print