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東西南北

ニッケイ新聞 2009年3月20日付け

 サンパウロ州ポンタウに住む男性は十六日、車の行く手に自転車を投げ出した青年を不審に思い、加速して逃げる際、三発の銃声を聞いた。フロントガラスが大破し、前後部のガラスに弾痕も残る状態で逃げ切ったが、右足には焼け付くような痛み。ところが、大出血を予想していた男性が、目的地の人々に連れて行かれた病院で見たのは、自分の替わりにポケットの中で被弾し、角が壊れた携帯電話。携帯電話は捜査のため警察に提出中だが、この事件で一六五レアルの品が無限の価値を持つ「お守り」に変身した。
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 十七日の集中豪雨で生産したばかりの新車四〇〇台が停めてあった駐車場が冠水したフォード社が、損害を確認中の十八日に、被害を蒙った車は販売しないと約束。メルセデス・ベンツ社では、駐車場での被害は、タイヤのみだったという。両社とも工場操業への支障はなかった。
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 十九日付本紙掲載の写真の、エスタード大通りで救出された親子三人の家庭に赤ちゃん誕生。臨月だったリリアンさんは救出後も消防の車で自宅に送られ、自宅到着と同時に姑の運転する車で産院に。自宅到着からはわずか二時間後の六時前に男児が生まれたという。一〇分足らずで首まで水に浸かるという恐怖を体験後の命の誕生は、一家にとって忘れられない思い出となることだろう。
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 金融危機で三カ月連続して増え続けていた失職者数がわずかに回復した二月は、二カ月減少し続けた電力消費も〇・七%増加。わずかな変化にも大満足したルーラ大統領は、早速「経済危機で苦しみ始めた最後の国ブラジルは、最初に危機から脱却」と宣言。底打ちはまだとも言われる危機の今後はいかに?

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