ホーム | 日系社会ニュース | 伯日議連がデカセギ支援要請=飯星、ウー連議が訪日=麻生首相、閣僚らと懇談=新幹線方式支援も表明

伯日議連がデカセギ支援要請=飯星、ウー連議が訪日=麻生首相、閣僚らと懇談=新幹線方式支援も表明

ニッケイ新聞 2009年3月21日付け

 伯日国会議員連盟会長の飯星ワルテル下院議員、副会長のウィリアン・ウー下院議員が十四日から訪日し、関係閣僚、自治体、ブラジル人団体・企業の関係者らと相次いで懇談した。雇用・生活の危機に直面する在日ブラジル人の現状視察、支援の呼びかけを目的とした今回の訪日。十七日には日ブラジル会議員連盟会長をつとめる麻生太郎首相にも面会し、予定時間をはるかに超える四十分にわたって意見を交わした。滞在中にはデカセギへの支援策のほか、リオ―サンパウロ市間の高速鉄道計画に関し、伯日議連として日本の新幹線方式を支援することも表明した。

 麻生首相との面会は十七日午前中に首相官邸で行なわれ、議連幹事長の河村建夫官房長官も同席。ブラジル側からは飯星、ウー両議員のほか、ルイス・アウグスト・デ・カストロ・ネベス駐日大使が出席した。
 話題の中心は在日ブラジル人の現状。首相、官房長官ともに、一月に政府の定住外国人施策推進室がとりまとめた支援策を速やかに実行に移す考えを示した。飯星議員は日本政府の意向を評価しつつも、「まだ全てのブラジル人に支援策が届いていない」と要望。首相はより多くの人が恩恵を受けられるよう措置を講ずると語ったという。
 会談は当初の予定時間の倍となる約四十分に及んだ。飯星議員のホームページによれば、首相はブラジルへの大きな共感とともに、デカセギ支援へのやる気を示したという。
 会談ではまた、高速鉄道計画に関し、新幹線方式の採用に向け伯日議連として支援する旨の文書が首相に渡された。両議員は同案件について金子一義国交相とも意見を交わしている。
 前日の十六日、両議員は小渕優子少子化対策担当相、塩谷立文部科学相ら閣僚、古田肇岐阜県知事と相次いで懇談。同日夜には日本側議連メンバーとの夕食懇談会も開かれている。
 塩谷文科相は現在国内に百近くあるブラジル人学校のうち日本の公認校が五校しかないことに触れ、日本政府の支援を受けられるようにするため公認化の手続きを進めることや、公立校での生徒受け入れが必要との認識を示した。
 政府の支援策の取りまとめにあたった小渕大臣は、父親の故小渕恵三首相がブラジルと縁の深かったことなどにも触れ、協力の意思を見せた。
 帰国を希望するブラジル人へ旅費を融資する方針を打ち出している岐阜県の古田知事は、ブラジルの金融機関でも同様の支援策が行なわれるよう要請。カストロ・ネベス大使が、ブラジル銀行東京支店と会合を持つ考えを示している。
 その後、飯星議員は十九日に浜松市を訪れ、鈴木康友市長、内田幸博市議会議長と懇談。内田議長は市内六つのブラジル人学校のうち公認校が一校しかないことに触れ、学校の水準に憂慮を示した。
 浜松ではこのほかにも、ブラジル銀行、連邦貯蓄銀行の関係者とも懇談。伯銀からは、帰国旅費支援の融資を検討していることなどが説明された。
 その後行なわれた地元ブラジル人との懇談には約百人が出席、現状の説明が行なわれた。
 出席したブラジル人学校の代表からは日本政府の学校公認の柔軟化やブラジル政府の支援を求める声や、外国人子弟の教育が義務とされていないことへの不満などが上がった。中には、伯政府が専門技術学校を日本に設置することや、帰国を望むブラジル人のため大統領専用機を派遣してほしいといった意見もあった。

image_print