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我らが文協の名はこれからも=イタクアケセツーバ=希望の家に「Vエスペランサ」=寄贈の会館で新施設落成=2階部分は資料館に

ニッケイ新聞 2009年3月28日付け

 昨年二月に四十六年の歴史に幕を下ろしたサンパウロ市東部ヴィラ・エスペランサ文化体育協会の会館が、希望の家福祉協会(木多喜八郎理事長)の新しい建物「ヴィラ・エスペランサ文協」となって生まれ変わった。これは、活動停止に伴い希望の家に寄贈された同文協会館を売却した利益、約二十二万レアルで建てられたもの。「私たちの会館はもう無いけれど、こうして寄付が形になり、お役に立てて嬉しい」―。二十六日午前から始まった落成式に参加した同文協の二十五人は、満足そうな顔を見せていた。

 イタクアケセツーバの希望の家敷地内に立派に完成した建物の前で、午前十時半すぎから始まった落成式には、ヴィラ・エスペランサ文協の八木静枝副会長(当時)をはじめ、会員や婦人会の二十五人、希望の家職員らが集まった。
 木多理事長は、「皆さんのたいせつな思い出が残る会館を寄贈していただき、こうして新しい施設ができて本当に嬉しく、また感謝しています。入居者が快適に生活できるよう、大いに活用させてもらいたい」とあいさつ。
 続いて、建物にはめ込まれた記念プラッカ前で、八木副会長と木多理事長らがテープカットを行なった。
 もともと希望の家の施設横にあった一階建ての倉庫を改修し、立派に生まれ変わったピンク色二階建ての建物「ヴィラ・エスペランサ文協」。名前はそのまま、「記念に」と同文協の名前がつけられた。のべ床面積は三百平米弱で、すでに一階部分は九十人いる入居者の衣服などを洗濯する場としてフル回転している。
 二階部分は、まだ真っ白な壁があるのみだが、来年で創立四十周年を迎えるにあたり、「メモリアル・デ・キボウノイエ」として資料館にする考えだ。
 一行は記念撮影を行った後、新しくできた建物と施設を案内され、入居者たちの活動を見学した。
 同文協が活動を停止して一年。今も月一回は婦人会が頼母子会を開き、毎回約二十五人ほどが集まっているという。「会館が無くなって寂しさはあるけれど、友情は続いているし、こうして立派な建物になって良かった。希望の家に寄付を決めて良かった」と婦人会の一人は嬉しそうに感想を話していた。
 続いて、体育館で入居者らがお礼に合奏や合唱を披露した。四十人がそれぞれ手にトライアングル、カスタネット、すず、タンバリンを持ち、「三百六十五歩のマーチ」、「手のひらを太陽に」を発表。また七歳からピアノを始め、毎日合唱の時間に伴奏を担当しているテレーザさんが、「エリーゼのために」など二曲披露した。
 最後に入居者代表であいさつに立ったレジーナさんは、「素晴らしいプレゼントをして頂き、とても感謝しています。これからも、いつでも訪ねてきてください」と感謝の言葉を述べた。
 同文協の一人ずつに手作りのキャンドルやノートなどの記念品が手渡され、アブラッソ。
 昼食は中庭でシュハスコが振舞われ、また施設から見える景色を楽しんで解散となった。
 参加者の一人、重松晃治さん(89、愛媛)は三十年前に同施設に訪れたことがあるといい、「その頃よりもとても立派になりましたね」と振り返り、これからも頑張ってほしいと語っていた。

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