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在日日系人支援に新事業=厚生労働省が4月から=就労と帰国支援の2本柱

ニッケイ新聞 2009年4月1日付け

 日本の厚生労働省は三月三十一日、経済危機下で雇用・生活の困難に直面する在日日系人に対する新事業を開始すると発表した。新事業は、就労希望者への準備研修と、帰国希望者への支援金支給からなるもので、四月から実施される。

 発表された事業は、「日系人就労準備研修事業」と「日系人離職者に対する帰国支援事業」の二つ。
 「日系人就労準備研修事業」は、就労を希望する日系人に対し、三カ月程度の研修を行なうもの。今年度予算額は十億八千万円で、対象人数は五千人。
 研修内容は、「日本語教育も含めた職場でのコミュニケーション能力強化」「日本の労働法令、雇用慣行等の基本的知識」「履歴書の作成指導、面接シミュレーション」など。同事業は、日系人が集住する地域(外国人集住都市会議の会員都市ほか)で四月以降、準備が整った所から順次開始される。
 帰国支援事業は、日本での再就職を断念し母国への帰国を決意した人を対象に、本人および家族に帰国支援金を支給するもの。帰国した後、「同様の身分に基づく在留資格による再度の日本入国を行なわない」ことが条件となっている。
 支援金の額は、支援を受ける本人は一人あたり三十万円、扶養家族は一人あたり二十万円。雇用保険の受給者には一定額が積み増しされる。ハローワークなどで四月から実施される。
 日本政府は在日日系人を対象とした雇用対策として、これまでハローワークへの就労促進ナビゲーター、通訳等を設置したほか、集住地域の自治体と連携して相談センターなどの設置、雇用調整助成金や住宅確保支援などの施策を行なっている。
     ◎
 ブラジル人をはじめとする外国人子弟の就学問題についても、現在与党の議員連盟「外国人学校および外国人子弟の教育を支援する議員の会」(河村建夫会長)が、自治体からの助成を可能にするための法案検討をはじめている。
 NHKや東京新聞の報道によれば、同法案は、現在国の認可を受けていない外国人校に対し、一定の要件を満たしていれば、自治体の財政的な支援を可能にする内容。現時点では、公の支配に属さない教育事業への公金支出を禁じる憲法八九条に違反する可能性が指摘されており、自治体からの支援は進んでいない。

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