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【文協選挙解説】=結果重く受け止めよ=評議員半数は野党派

ニッケイ新聞 2009年4月28日付け

 コロニア巷間を賑わせた文協選挙は、木多喜八郎氏を会長とする体制派シャッパ「統合と進歩」が「チェンジ文協」(会長・小川彰夫)を抑え、勝利を決めた。
 二年前、上原幸啓前会長が三期目当選を決めたときの得票数は五二。「統一と発展」(会長・高木ラウル、三七票)、「連合」(会長・小川彰夫、一二票)の野党派を合わせれば、あと三票と肉薄していた。
 今回は野党が健闘したにも関わらず、六票差をつけられた形で敗北を喫した。六票差ということは、三人が動けば同点になり、四人動けば勝っていたことを意味する。
 今回の選挙では、谷派の主要メンバーである小山昭朗、中沢宏一、諸川有朋氏らが評議員選挙の時点で落ちたのが響いた。
 今回、谷派は評議員選挙の段階まで事実上、何もしていなかった。それぞれの党派がしっかり活動してこそ、連合時に力になる。もっと早く調整に入っていれば、との意見もあるが、前回成し遂げられなかった「連立」は評価すべきだろう。
 選挙後、コロニアでは「残念だったねえ」との声が漏れていた。多くが文協の〃変革〃を期待していたといえる。
 確実に現体制に対する支持は減っており、批判勢力が拡大している。この調子で勢力が入れ替わっていけば、次の選挙では確実に逆転する。
 体制派も文協フォーラムなどの形で地方団体取り込みを図っているが、「チェンジ」のメンバーを見るだけで、不足の感は否めないだろう。
 今回の結果をどう受け止めるか。木多政権の最初かつ最大の課題といえる。
 今回の当選した理事会・監査役メンバーのなかで評議員は十人おり、これから理事(十五人)に選ばれる評議員の空席を、野党派も含めた補充評議員が埋めることになる。
 補充評議員の上席に野党派が多いことから、少なくとも約半数の評議員が反体制派、場合によっては野党勢力が過半数を占める〃ねじれ評議員会〃になる可能性すらある。
 いずれにしても、今まで以上に野党勢力が文協運営に力を持つようになるのは明らかだ。選挙のための連合に終らず、舵取りにも力を合わせて欲しい。
 もう一つ指摘するならば、理事会選挙に白票を入れた評議員が四人いた。投票しないことも確かに一つの権利・意思といえる。
 だが、一票の重みを考えて欲しい。会員数は二千四百人だから、一評議員当たり二十四会員。それだけの権利を放棄することの意味の大きさを認識すべきだ。
 すでに小川氏は、選挙のあった週末に地方をあいさつに回っている。多くの声援を受け、「二年後に向けて動いている」という。
 選挙に「もし」はないが、今回の選挙が会員直接選挙だったら、どういう結果になっていたか。現執行部はこの意味をよく考えるべきだ。
 現政権は評議員会長となった大原毅氏もだが、〃消去法〃で決まったイメージが強い。「上原体制と何も変わらない」との声も強い。木多氏を会長とする執行部はコロニアの空気を読み、声を聞き、十五人の理事、二十五人の地方理事の人選を図るべきだろう。(深・剛)

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