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老人性認知症の正しい知識を=宮城県人会=必要なのは適切な治療=東北大の目黒教授が講演=日伯県人の診察調査も

ニッケイ新聞 2009年5月6日付け

 サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)とブラジル宮城県人会(中沢宏一会長)主催による講演会「老人性認知症の基礎知識」が、二日午後二時半から宮城県人会館で行なわれた。講師を務めたのは、東北大学大学院教授の目黒謙一氏(医学博士、宮城県出身)。約百五十人の参加で会場は満席となり、関心の高さをうかがわせた。

 講演はポ語の逐次通訳がつけられ、スライドも日語・ポ語の両方で用意された。
 目黒氏は東北大大学院の医学系研究科高齢者高次脳医学教授で、脳血管性認知症研究の第一人者。十二年前に来伯し宮城県人を対象に診察調査を行っている。
 認知症には大きく分けてアルツハイマー病、血管性認知病、レビー小体病の三種類があり、アルツハイマー病がその大部分を占める。講演の中ではその各病気の症状・治療法を事例を交えながら詳しく説明した。
 目黒教授は認知症の発症は生活習慣とは関係がないとし、日本では「仕事人間はボケる」、ブラジルでは「ダンスをしないとボケる」などと言われるが、誤った認識であると指摘した。
 講演ではまた、同教授が一九九七年の来伯時に行った宮城県人の診察調査をもとにしたブラジル移民の医療協力調査についても報告された。
 同調査は、ブラジルの宮城県出身者と宮城県田尻町住民を対象に行われた大規模な比較調査。
 報告によれば、糖尿病有病率は移民が日本在住者の三倍高く、認知症有病率はほぼ同率。また、移民の高齢者は日本在住者に比べ身体機能が高いと報告され、会場もその結果に納得した様子を見せていた。
 講演後の質問で大半を占めたのは、認知症への予防策はないのかというものだった。
 しかし、残念ながら現在の医療研究では、認知症は原因不明で細胞が自爆・融解していく病気であると考えられ、具体的な予防策は示されていないという。
 来場者からは予防策が分からないと心細いという声もあったが、教授は「認知症はまず一緒に住む家族が発見しなければならない」、そして「医療機関できちんとした診断を下してもらい、適切な治療を行う必要がある」と呼びかけた。
 講演会の最後には、教授から援協と宮城県人会へ寄付が贈られたほか、援協と宮城県人会から来場者に向け約百人分の講演会参加証明書が発行された。
 教授は、今回の来伯中に宮城県人の追跡調査を行う。調査結果はニッケイ新聞で掲載予定。

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