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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年5月9日付け

 故・笹川良一氏という波乱万丈の生涯を送った人がいる。A級戦犯容疑で巣鴨プリズンに収監され、容疑が晴れ出所してからは人道・福祉事業を支援し、ハンセン病撲滅に尽力しインドやアフリカに施療病院を寄贈し勲一等瑞宝章に輝く。この人物は親孝行で知られ老いた母親を背負い金比羅宮への参道の険しい石段を上り「親に尽くせ」との訓誨も▼近頃は幼い我が子を苛めたり、幼児にご飯を食べさせないなど虐待好きの若い母親も少なくない。なかには殴るや蹴るの暴行を繰り返し、腹を痛めて産んだ子を死に追いやるお母さんもいる。だがーこうした悲しみは例外でありまったくの異常と見たい。母というのは、食べ物が足りなくなれば、自分が食べるのを惜しんで子にやるのが母性なのであり、この大切なことは今も昔も少しも変わらない▼母親に掛かる枕言葉に「たらちねの」がある。垂乳根と書きー乳を垂らすから生まれたものであり、垂乳女(たらちめ)は生みの母と、あの極東の島国には母を敬い親しみを込めた言の葉があり、母と子を結ぶ。ちょっと昔、雪村いづみのヒットに「帽子を横ちょにかぶり おどけていた(略)オーマイパパかえらぬパパ」があったけれども、やっぱり「オーマイ・ママ」には勝てない▼きょうの土曜日は花屋さんやお店が大忙しだろう。アメリカ生まれの「母の日」のプレゼントながら、知り合いに花屋がいて「恋人の日」の次ぎに稼ぎがあると話していたが、大いに儲けて下さい。「母の日の白カネーション買いし彼=牛童子」。明日は「ジア・ダス・マンエス」。(遯)

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