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「ブラジル農業の可能性は大きい」=視野を広く世界相手に=コザン社=水谷副社長が講演=「日系であるのは誇り」

ニッケイ新聞 2009年5月20日付け

 広島文化センター(大西博巳会長)、リベルダーデ文化援護協会(池崎博文会長)、ブラジル日系協会(京野吉男会長)が共催する日系著名人講演会第一回が十五日晩、同センター会館で行われた。世界最大手の砂糖エタノール生産会社コザンの水谷イサム・ペドロ副社長は「エネルギー業界に躍進するブラジルとコザン」をテーマにポ語で講演し、「コザンだけで国内の全フレックス車の二カ月間に使用するエタノールを補給できます」などと景気の良い数字を並べ、集まった約百人は感心しながら聞き入った。

 「ブラジル農業の最大の問題は、世界がその潜在能力に気付いていないことだ」。世界有数の企業の副社長らしく、視点の高さ、発想の大きさは世界を相手に商売をしているエリートの雰囲気に溢れている。
 エタノール生産世界一は米国で、全生産量の半分を占める。二位がブラジルで三七%、三位はEUの五%となる。
 他国では、変換効率が悪く、食品価格に影響を与えるトウモロコシやビーツ(赤甜菜)であるのに対し、ブラジルはサトウキビである点を説明し、同社だけで六十万ヘクタールを植え付けているという。「弊社の荒挽きサトウキビの生産量は四千四百二十万トンで、国に例えれば伯、印、中、タイ、パキスタン、墨に次いで世界七位です」。
 同社の砂糖生産量は三百三十万トンで、州に例えれば、サンパウロ州に次いで二位にもなる。
 バガス(絞りカス)を燃やして自家発電できる発電量は千二百五十メガワットで、九十万人の都市(サントス市二つ分)に電力を供給できる。
 二世である水谷副社長の父マモルさんは愛知県出身、母テルコさんは広島県出身だ。「〃約束の地〃に住む日系人として、自分の仕事に誇りを持っている」。
 USP工科を卒業後、一九九〇年から財務担当理事、〇一年から財務や輸出戦略担当の専務理事、〇六年から運営審議会のメンバー兼副社長となった。
 ちなみに、サンパウロ州内の農場経営者には伝統的にイタリア系が多く、「コザン社もやはり社長がイタリア系だ」という。そんな中で唯一の日系人として、気を吐く存在だ。
 「経済の発展が自然破壊を伴うものであってはいけない。ブラジルはまだ余地が大きい。日系人が日本を説得し、ブラジル農業の可能性に気付かせて欲しい」と一時間余りの講演を締め括った。
 来場者の一人、汎アメリカン・ブラジル日系人協会の矢野敬祟会長は「コザンがこんなに大きくなっていたとは知らなかった。その副社長を日系人がやっているのはすごいこと。こっちも頑張んなきゃという思いです」と感激した面持ちで感想をのべた。
 コーディネータの平崎靖之さんは、「斉藤準一空軍総司令官など著名な日系人に講演してもらえるようにお願いしているところ。ぜひ聞きに来てほしい」と次回への参加を呼びかけた。

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