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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年6月4日付け

 県連事務局によれば、会報などの刊行物を発刊している県人会は「大体三十ほどではないか」という。意外に多いと思いつつも、需要があるのは頷ける。県人会活動に参加している人はもちろん、ブラジル各地に広がった県人にとってはなおさらだ。古里を懐かみながら手に取り、行事によっては出聖のきっかけにもなる。ブラジル日本文化福祉協会では、数年前に廃止した「文協だより」を木多喜八郎新会長は復活させる考えだとか。地方の連携を視野に入れたものだろう▼海外日系人協会発行の『移住家族』が四百四十六号を以って廃刊となった。日本海外移住家族会連合会の機関紙として、一九六七年(昭和四二年)に創刊。隔月で毎号一万部を発行してきた。互いの連絡が困難だった時代、移住者を送り出した家族にとって、重要な情報源でもあったろう。「移住者をとりまく内外の状況や政策を取り上げ、また、移住者と留守家族を繋ぐ媒体として親しまれてきました」(同号)▼廃刊にあたり、シリーズ「『移住家族』紙にみる海外移住と家族会」を掲載、最終号では連合会が行なった二大受入れ事業である海外日系人訪問団、移住者家族子弟研修を取り上げた。同事業を「これからの日系社会をになう次世代の人材の育成に受け継がれている」と結ぶ▼廃刊とはいっても、同協会の日系人相談センターが発行、国内日系人就労問題などを扱う『日系人ニュース』と統合、『海外日系人協会だよりーNIKKEI NETWORK』として再出発。このたびの不況を機会に、日本国内で構築されつつある日系コミュニティーの動きを広く知らせる媒体としても期待したい。(剛)

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