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浪曲の国本氏ら迎え慈善ショー=援協創立50周年記念して=感動と笑いに包まれ=芸能やピアノで会場魅了

ニッケイ新聞 2009年7月14日付け

 日本から浪曲師国本武春氏、曲師沢村豊子氏、作曲家・ピアニスト宮下和夫氏を特別に迎えて、サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)は十二日午前九時から創立五十周年記念事業『チャリティーショー』(福本千賀人実行委員長、ニッケイ新聞共催)を開催。午後四時までの長丁場に関わらず、リベルダーデ区の文協ビル大講堂は終日一千二百席がほぼ満員となる熱気ぶり。会場は感動と笑いに包まれた。また援協、サンパウロ市議から三氏に感謝状、ブラジル表彰協会(ETJAB)から顕彰帯が贈られた。

 創立五十周年を迎えた援協の菊地義治副会長は開会式で、「援協は必要に応じて大きくなり、コロニアと共に歩んできました。『ブラジルに来て良かった』と思えるような社会にするため今後も頑張っていきたい。今日は心から楽しんで」とあいさつして幕開けした。
 サウーデ楽団の生演奏で午前の部がスタート。生演奏での歌謡ショーは雰囲気たっぷり。上田演劇舞踊団の「祝いづくし」、具志堅シゲ子琉球舞踊道場のフラダンス、また輝千代会日本舞踊学校の男児三人の「サムライ」など、味のある舞台で観客を楽しませた。
 ブラジル郷土民謡協会は三味線や尺八の和の音色で、一気に民謡の世界へ。ブラジル日本民謡協会や花柳流なでしこ会、祥こう流祥悦会は、若さ溢れる舞台を繰り広げ客席を沸かせた。
 丹下セツ子太鼓道場の迫力のある舞台で熱気は最高潮に。続く花柳龍千多、丹下セツ子さんの舞踊が舞台を引締めた。
 京藤間流、池芝流、花柳流金龍会、藤間流がつぎつぎに華麗な日本舞踊を披露、戸塚マリバレエ教室はタンゴなど軽やかな舞いを見せた。
 午後から始まった第二部は、宮下和夫氏による「音でつづるふるさとの四季~あなたと共に」。「住みたいなってほどブラジルキチガイ」と自己紹介した宮下氏に会場からは温かい拍手。
 日本の四季折々の風景映像が流れ、「さくらさくら」「夏の思い出」など美しい音色に合わせて四季を巡った。この日のために編曲した「ふるさと」演奏では会場からハミングも。
 続いて宮下氏作曲の「大原の春・秋」ピアノソロ。穏やかで優しい希望溢れる春、そして空高く澄み渡る美しい秋の繊細なメロディーが静寂な会場に流れ、別世界に引き込まれるようだった。
 また平成学院の子供らやグループ・エトアールが宮下氏の伴奏で熱唱し、「ふるさとの四季」を歌った原田ネルソンさんは「素晴らしい伴奏でとても気持ちよく歌えた」と感激の様子。
 第三部は国本、沢村両氏の「弾き語りと古典浪曲のスペシャル企画『大忠臣蔵』」。
 白の袴姿で登場した国本氏。「拍手が小さい、皆さん」などとテンポの良い語りで笑いの渦へ一気に引き込み、掛け声教室で「名調子」「たっぷり」「日本一」を伝授。掛け声の指示が飛ぶ度に笑い声が響いた。
 そしてロックやバラードのリズムに合わせ、三味線を弾きながらの「忠臣蔵」を披露。国本氏の斬新な浪曲だ。
 後半は、沢村氏の三味線演奏に合わせ古典浪曲「英国密航」を披露。英国がどこにあるのかも分からない長州藩の若い武士五人が、藩主から命じられ密航を企てる幕末の話を、粋な三味線に合わせて軽快に披露した。節、啖呵ごとに拍手や掛け声がかかり、大喝采のうちに終了した。
 最後に三氏に援協、サンパウロ市議から感謝状と、さらに顕彰帯が贈られ、全員で「北国の春」を大合唱して幕が閉じた。
 娘と一緒に訪れた渡辺文枝さん(81、二世)は、「父が浪花節大好きで、私も小さい頃良く聞いてたので今日は懐かしかった。三味線もかっこよかったですね、来て良かった」と満面の笑みで話していた。

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