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広島県も控訴取り下げ=在伯被爆者「来日要件」訴訟

ニッケイ新聞 2009年7月17日付け

 【共同】在外被爆者が被爆者健康手帳の交付を申請する際に来日するよう定めた「来日要件」をめぐる訴訟で、広島県の藤田雄山知事は十六日、県庁で記者会見し、ブラジル在住被爆者(死亡)の申請を却下した県の処分を違法とした広島地裁判決の控訴を取り下げると発表した。県の敗訴が確定する。
 在外被爆者をめぐる同種訴訟で一審敗訴し、控訴の取り下げや断念で敗訴が確定した長崎県と大阪府に追随した形。今後、広島高裁で取り下げの手続きを進め、代理人を通じ原告にも説明する。
 判決のうち、計百六十五万円の国家賠償は国が控訴せず、確定している。
 会見で藤田知事は「私の政治的判断で取り下げることにした。結果として、原告に多大な苦労を掛けて誠に申し訳ない」と陳謝した。
 さらに「法定受託事務で県に裁量権はないのに(判決で)乱用と言われ、白黒つけたかったが、大阪や長崎の情勢を見て、意地を張っても仕方ないと思うに至った」と決断した理由を語った。
 広島地裁は昨年七月、来日要件に「一定の合理性がある」としたものの「国内に居住しないことのみを理由に申請を却下したのは裁量権の乱用」として、広島県の処分の違法性を認め、取り消した。県は同年八月に控訴していた。

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