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JICA=海外協力隊員21人が報告会=コロナで任期短縮、次の進路へ=14人は再度ブラジル派遣希望

オンラインで行われた最終報告会(JICA提供)

オンラインで行われた最終報告会(JICA提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急一時帰国し日本で待機中のJICA海外協力隊員の内、任期を短縮し次の進路へ進む事を選択した21人が、7月31日〜8月7日の期間、オンラインにて最終報告会を行った。同報告会には待機中の全隊員、JICAブラジル事務所スタッフに加え、各在伯公館からも出席があった。報告を行った21人は8月2日までに隊員としての任期を終了し、内5名は派遣前に勤務していた小学校等の所属先に復帰している。また、21人中14人は、可能であれば3年以内に再度隊員として派遣される事を希望している。

谷隊員とアマゾニア援護協会の同僚の皆さん(JICA提供)

谷隊員とアマゾニア援護協会の同僚の皆さん(JICA提供)

 谷俊洋隊員(34)は、パラ州アナニンデウア市にあるアマゾニア日伯援護協会の老人福祉施設「厚生ホーム」で作業療法士として活動した。赴任当初から、身体の大きい入居者を楽に運ぶ技術や、入居者のプライバシーに配慮したトイレの介助手法等を模範として示し、日本の介助技術や入居者ファーストな手法に関心を示してくれる同僚が多くいたが、言語や文化の壁があり、導入・定着させる事が難しかったと、報告会の中で語った。
 しかし、体操の指導を行っていた同僚女性が特に興味を示してくれ、以降、一番の協力者として全ての活動をサポートしてくれるようになり、活動が上手く行き始めた。彼女のサポートのおかげで、認知症に関する講義等、難しい内容の説明もポルトガル語で実施できたとの報告があり、厚生ホームの皆さんへの感謝の言葉で締めくくられた。

赤坂隊員による「日本語で話そう会」の様子(JICA提供)

赤坂隊員による「日本語で話そう会」の様子(JICA提供)

 サンパウロ州ブラガンサ・パウリスタ日本語学校で教師として活動した赤坂優太隊員(33)は、任地で行った「日本語で話そう会」という取り組みを紹介した。これはブラジル日本語センターの取り組みを参考に、生徒からの「日本語を学んでも実際に使う場がない」という悩みに応え企画したもの。
 普段学校へは通っていない日本語が堪能な婦人会メンバーや他の任地で活動する隊員にも参加してもらい、日本文化プレゼンテーションとバテ・パッポ(グループでの会話セッション)の2部構成で行い、大好評であったとの事。
 どの隊員からも、当初予定していた任期を全うできなかった事を残念に感じながらも、ブラジルでの経験をポジティブに振り返り、今後の人生に活かそうという前向きな姿勢が感じられた。

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