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バストスで恒例卵祭り=入植81年の〃卵の里〃=節目の50回で盛大に

ニッケイ新聞 2009年7月23日付け

 開会式には、薮田文協会長、木村豊副会長、ヴィルジーニア・ペレイラ・ダ・シルバ・フェルナンデス市長、マルシオ・ベントゥローゾ・デ・ソウザ市議会議長、大部一秋在サンパウロ日本国総領事、市議、州議会議員らが出席した。
 薮田会長は、一九二八年に始まるバストス移住地の歴史、養鶏業の変遷に触れ、「経済危機の中でも、皆の努力から発展を続けている」とあいさつ。ペレイラ市長は、「イベントを毎年さらに大きなものにし、町の発展につなげよう」と力強く呼びかけた。
 初めて同市を訪れた大部総領事は、養鶏の繁栄を称えるとともに、「このイベントがブラジルと日本の友情の掛け橋になり、移住者の更なる繁栄につながれば」と述べた。
 薮田会長、ペレイラ市長、大部総領事らによってテープカットが行われ、開幕。
 開会式で盆踊りを披露した文協婦人部の海野美代子さんは、「皆に見てもらえて嬉しかった。今年も盛り上がっています」と笑顔で話した。
 会場の入口付近では、文協日本語学校の生徒や元生徒たちがオムレツを販売。岡田よねみバネッサさん、鈴木小音里カーレンさんは「人が増えるほど、気合が入って楽しい」と言ってオムレツ作りに夢中になっていた。
 今年は去年を大きく上回り、約一万食を販売した。売上は、姉妹都市・三重県熊野市への研修生の航空費に充てられる。
 卵品評会では、白卵はヒライ農園、赤卵はミヤクボ農園、ウズラ卵はサンパウロ農園がそれぞれ優勝した。
 今年は初めて日本の卵厳選機が導入され、含有成分の割合を鑑定し、品評された。ウズラの卵に関しては、外見から評価された。
 今年は例年に比べ多くの企業が参加。約六十のブースが並び、業界関係者も多く集まった。
 ファーマ・オーボ株式会社では、粉末の黄身・白身を紹介。水分を蒸発させ乾燥させた粉末は約六カ月保存でき、栄養分は損なわれていないという。同商品はパン製造所や菓子屋向けに販売され、まだ一般商品化されていない。
 HUHTAMAKI株式会社は、卵の紙パックを紹介した。
 ブラジルでは長距離輸送の際、卵が乾燥しないよう紙のパックが使用されることが多い。プラスチック製のものよりもコストはかかるそうだが、営業課のネルソン・ダイクバラさんは「紙製のものは百%リサイクルが可能で、環境に優しい」と説明する。
 夕方になると会場には人が溢れ、二つの特設ステージで太鼓やセルタネージョ、バンド演奏が始まった。夜遅くまで賑わいを見せた。
 会場の外には、同イベントに合わせて移動式の遊園地も設置され、子供たちが楽しむ姿が見られた。
 同イベント総合コーディネーターの大浦フランシスコ氏によれば、今年は衛生などインフラ設備により力をいれたという。「今年も多くの人が集まってよかった。来年も続けて盛り上げて行きたい」と意気込みを語った。
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 初日の開会式に先立ち、大部総領事は同市のサン・ジョゼ学校を視察した。同校は、幼稚園から中等教育まであり、約三百人の生徒が通っている。
 大部総領事は教室、グラウンドを見学し、正面の校庭に桜の木を植樹。「大きく育ってね」と声をかけた。

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