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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年9月2日付け

 今回の総選挙に対し、「何が歴史的な選択なのだろう」という素朴な疑問を抱くのは、天の邪鬼なコラム子だけだろうか。だいたい、どこの先進国で五年間も毎年首相が替わる国があるのか。ルーラ大統領一人の間に、小泉、安倍、福田、麻生、鳩山と五氏が年替わりする状況自体の異常さに警笛を鳴らすメディアがどれだけあったか▼今回の総選挙は所詮保守から保守へ移行しただけ。外国からの視線をまったく意識せず、国内の身の回りだけ、近視眼的な選挙戦を繰り広げてさも大変なことが起きたかのように悦に入っているようにみえてしかたない。事実、「歴史的~」として世界の報道機関に幾つ大々的に扱われたのか▼金融危機の影響を世界で一番受けているのは日本のようだ。しかもそれは実態としての不況より、心理的な冷えこみ感だ。日本は格差が少ないから、少しの社会的な変動でも大騒ぎする傾向がある。常に危機に直面しているようなブラジルでは、大方の社会経済的な変動に対して、国民も企業も織り込み済みのところがある▼日本の場合、国民全体の心理的な冷えこみ感がきつ過ぎ、麻生政権は有効な対策を打ち出せなかったとみなされ、政党の善し悪しを別にして唯一の選択肢であった民主党に票が集まったように見える▼これは日本国民全体の感情の不安定性を如実に示す。不況下にあってもデカセギが帰りたくないような生活ができるのが日本であり、世界的に見れば国民全体が上から数%の上流階級の暮らしをしていることを、本人たちがまったく認識していない。世界第二位の経済大国らしく、どっしりかまえていてほしいものだ。 (深)

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