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『赤い大地を拓く』を出版=宮城県人100年の歴史

ニッケイ新聞 2009年12月1日付け

 宮城県から見た県人移住―。財団法人未来の東北博覧会記念国際交流基金(高橋俊一理事長)は先ごろ、宮城県人のブラジル移住100年の歴史を著した記念誌『赤い大地を拓く』を発行した。案内に本紙を訪れたブラジル宮城県人会の中沢宏一会長によると、日本移民・県人移住100周年に合わせて、同県民に対し移住の全容を明らかにし、各市町村や図書館に寄贈できるような記念誌をつくるべきと同県に要請した成果だという。
 調査は記念誌制作実行委員会(京極昭委員長)のメンバーが07年から08年中頃までに、計3回以上来伯し、パラナからアマゾンまで調査に行き資料収集、インタビューなどを行った。宮城県国際交流協会や宮城・ブラジル友好協会、河北新報の記者なども協力し、財団法人・宮城県国際交流協会(高橋俊一理事長)などの資金協力を得て完成した。
 同記念誌は序章「移住前史Ⅰ、Ⅱ」、第1章「ブラジル移住100年の歴史」、第2章「宮城県人100年の歩み」、第3章「海外移住を推進した機関・団体」、第4章「仙台七夕のブラジル移住」、第5章「日系人の出稼ぎ問題」、第6章「ブラジル親善訪問団の足取り」、資料編の530ページからなる。
 宮城県人100年の歩みや七夕祭りなどが記載され、巻末の資料編では移住者名簿などのほか、県費留学生や技術研修員の名簿なども記載されている。
 さらに、1803年、ロシア船にのって世界一周をしていた仙台藩石巻港の若宮丸船員、津太夫ら4人が日本人として初めてブラジルの地を踏んだ話や、初の日本進出企業で、日伯貿易のさきがけともなった藤崎商会についても記されている。
 中沢会長は「仙台藩からの移住の歴史が詰まっています。県の学校や市町村図書館にも保管して欲しい。日本語以外でも出版したい」との期待を述べた。同記念誌の問い合わせは同県人会(電話=11・3209・3265)まで。

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