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子供たちの成長ぶりに声援=PIPA=サンパウロ市で第4回発表会=成果あげる生活療法=3年の活動支えた日教寺=PIPAから感謝状贈る

ニッケイ新聞 2009年12月11日付け

 サンパウロ日伯援護協会(森口イナシオ会長)のサンパウロ自閉症療育学級「青空学級」(PIPA=菊地義治代表)は5日、4回目となる発表会をサンパウロ市の日教寺体育館で開催した。PIPAは、人との交流が苦手、一緒に遊べない、急に笑ったり泣いたりと感情をコントロールできない自閉症児に対し薬療法に頼らない生活療法による教育を実践している。同学級では8歳から12歳の生徒達6人が学んでおり、今回はバスケットボールと一輪車、さらには演劇にも挑戦した。生徒達はいきいきと日頃の成果を発表し、約120人の来場者は温かい拍手を送り、大いに盛り上がりをみせた一日となった。
 PIPAの揃いのTシャツを着た生徒達が音楽にのせて、バスケットボールをつきながら、笑顔で登場。生徒達は一人一人、ドリブルをし、ゴールにシュートをした。ゴールが見事決まると、職員と嬉しそうにハイタッチをする姿も見られ、最後は丁寧にお辞儀をした。
 さらに生徒達は今年初頭から練習を積んできた一輪車で登場し、自信たっぷりの表情で体育館を半周。その後は舞台に上り、障害物の狭い隙間をジグザグに走る姿に会場から温かい拍手が送られていた。転んでしまう生徒もいたが、泣き出したり、取り乱したりする子もおらず、すぐに立ち上がって演技を続けた。
 ひときわ大きな拍手が送られたのは演劇「おおきなかぶ」。おじいさんとおばあさんに扮した2人の教師と、牛や豚、犬やネズミなど動物に扮した生徒達が登場すると、歓声があがった。生徒達は全員で「よいしょ、よいしょ」とカブを抜く物語を演じてみせた。豚に扮した生徒が「ブヒ」と物まねをする姿が会場を沸かせた。
 最後は力強い太鼓の演奏で締めくくった。生徒達は体育館の出口で一人一人に手作りのクリスマスプレゼントを手渡し、来場者を見送っていた。

 発表会の後は場所を移し、懇親会が開かれた。菊地代表は関係者に謝意を表し、成功裏に終わったことを振り返った。また、今回で同所での活動は最後となることから、3年間場所を提供してきた同寺の斉藤法明住職に感謝状が渡された。
 別府重臣オズワルド日伯友好病院院長の音頭で乾杯し、生徒達と共に、参加者や父兄は話に花を咲かせていた。
 来年から新しい場所での活動を始めるPIPA。三枝たか子さんの後任として今年7月に着任し、生活療法の指導をしているJICAシニアボランティアの平林美代子さん(65、神奈川)は「良くやってくれた。慣れない大勢の場でもいつも以上に力を発揮した」と感想を述べた。平林さんは普段、食事や着替え、社会性を身につけるための挨拶、バランス感覚など、生活の自立のための様々な訓練を行っている。
 指導のコツを聞くと、「結果を焦ってはいけない。毎日の積み重ねで継続が重要」と述べ、「若い先生たちと、親の陰の力がすごく大きい」と語った。
 夫の高行さん(48、大阪)と共にPIPAの立ち上げに関わった母親の矢野和美さん(36、石川)は、息子の顕人くん(11)の活躍を見て「以前はどこにでも歩いていたのに、すごく落ち着いた」と述べ、「1年間頑張ってきたことをみんなの前で堂々と発表するのを見て、私も自信がついた」と嬉しそうに語った。

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