ニッケイ新聞 2009年12月18日付け
地方に行くたびに、サンパウロ市よりも地に足のついた活動をしている日系新世代が確実に台頭していると実感する。先週ロンドリーナで吉井貴美子さんに話を聞いたときも感心した。昨年は全伯で10カ所以上も日本公園が建設されたが、ここでは「作ったらお終い」ではない▼日本公園の名にふさわしい使われ方をしてこそ本来の役割を発揮するとの考え方に基づき、地元企業家に呼びかけて昨年から市制記念日とナタルを祝って12月中毎晩、無料コンサートを開催している。その舞台は、昨年6月に皇太子殿下のお立ち会いのもと、百周年を祝って盛大に開場した中川トミ公園だ▼毎晩のコンサートには地元学校や各種団体の合唱隊やバンドに混じって、同文協合唱団やグルッポ・サンセイの出し物も披露される。いわば市民全員でやる「芸能祭」だ▼公立校の生徒が環境教育の一環としてペットボトルを装飾品に作り替えたものが、公園いっぱいに飾られ、子供たちが親に「私がこれを作ったの」と自慢げに語り、記念撮影している姿が微笑ましい▼大鳥居の下で、友人らと談笑していたエデネル・レイスさん(15)は「ここは日本移民百周年で作ったんでしょ。バロリザード(価値が高い)だよね。他と違って整備されていてイベントもある。とっても気に入っているよ」と仲間とうなずきあった▼日系人が旗を振って地元のためになる活動を市民と共に行い、百周年で作った日本公園の価値を上げる。鳥居とXマスツリーという組み合わせも、当地ならではの文化融合の美景だ▼ここで忘れられない思春期の一時を過ごした子供は、きっと親日家に育つだろう。 (深)