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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2009年12月19日付け

 鳩山首相のノーテンキぶり。いや、これは小沢幹事長の暴君振りがいい。天皇と習近平副主席との会見についての横車と宮内庁苛めは、まったくもって醜態そのものに尽きる。天皇陛下と謁見するのには、1カ月前に文書で申し入れるの慣行があり、政府もこれに従ってきた。ところが、今回はこれを破り、政府のごり押しに宮内庁長官が屈し「心苦しい思いで陛下にお願いした」という▼会見は15日に実現したが、極めて後味が悪い。この暴挙を非難する声は高まり、新聞論調も批判する。それを歯牙にも掛けないかのように「あの判断は正しかった」と、首相はのうのうと語る。小沢氏にいたっては堂々と記者を集めーさながら「怒りの会見」である。「30日ルールって誰がつくったの?2法律で決まっているわけでも何でもないでしょ」「宮内庁の役人がつくったから、金科玉条で絶対でそんなバカな話があるかっていうんですよ。ね」と、まくしたてる▼確かに、このルールは陛下の健康問題やご高齢に配慮してのものだが、歴代の政府も認めてきた慣行なのだから、現政権も尊重するのが筋というものではないか。羽毛田宮内庁長官は、政府からの一回目の要請を「ルール違反」とし断ったのだが、首相の指令で官房長官が再び電話し「例外としてー」と依頼したのでやむをえず承認した▼陛下と政治のかかわりはデリケートである。今回も、中国大使館が有力議員らに働き掛けを行っているし、政治的な動きを否定できない。この横暴さには、政権内からも批判があるし、首相と小沢氏は、これらの声にもっと耳を傾けて欲しい。 (遯)

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