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リオ州フンシャル移住地=もちつき・忘年会盛大に=総領事ら200人が出席=50周年に向け、結束誓う

ニッケイ新聞 2009年12月23日付け

 リオ州フンシャル移住地恒例の「もちつき・忘年会」が19日、フンシャル文化体育協会会館で行われた。在リオ総領事館の荒川吉彦総領事、リオ日本商工会議所の井上惣太郎会頭(三菱商事)、リオ州日伯文化体育連盟の鹿田明義理事長ら来賓のほか、地元住民ら約200人が出席した。2011年に入植から半世紀の節目を迎えることから、同文協の津守太会長(66、山口)は、関係者に協力を呼びかけ、移住地内の結束を誓った。

 リオ市北東80キロにあるカショエイラ・ド・マカク市に属するフンシャル移住地は、日本海外移住振興会社が造成、日本海外協会連合会(海協連)が全国で移住募集を行った。
 1961年4月21日に第1陣4家族21人が到着、63年6月までに48家族が入植した。現地入植家族は5家族。
 半数が北海道、九州の炭坑離職者で、農業経験者は1割だった。当初は養鶏などを手掛けたが、後にゴイアバの栽培が盛んになり、現在の主産物となっている。
 現在の日系家族数は24家族。1967年には初来伯した皇太子殿下(現天皇陛下)が〃お忍び〃で同移住地をご訪問、コロニアを沸かせた。会館に隣接して記念碑が立つ。
 運動会と並び、同移住地の二大行事であるもちつき大会は今年で20回目。リオ市在住の領事館関係者や駐在員と、移住地の交流の場ともなっている。
 日本語学校を運営する日曜学校と青年会(会員13人)の共催だったが、生徒の減少により昨年、日曜学校が閉鎖したことから、今年から文協の主催行事となった。
 今回は、もち米を80キロ用意。朝早くから、元気な掛け声とともに、「ペッタン、ペッタン」ともちを搗く音が響いた。
 11時頃から始まった忘年会の司会は、中山民江さん(20、二世)が務めた。
 津守会長は、関係者らに感謝の言葉を述べ、「高齢者ばかりの移住地になってしまったが、2011年は入植50周年。結束を固めて乗り切りたい」と話し、拍手が送られた。
 青年会の水口英治会長(20、二世)は、「今年がみなさんの協力で無事終わることを感謝します。忘年会を楽しんでください」と日本語であいさつした。
 鹿田理事長(73、長野)は、「州内の移住地でもちつきをしているのはフンシャルだけでは。伝統として、是非続けてほしい」と話した。
 今年8月に着任した荒川総領事(57、東京)は、「来伯前からフンシャルのことは聞いており、今回の訪問を楽しみにしていた。50周年は総領事館としても協力は惜しまない。一緒にお祝いできれば」との姿勢を明らかにした。
 リオ商工会議所の井上会頭、木村元首席領事、今川領事らがそれぞれあいさつ。同移住地の長老で市村輝夫さん(85、長野)が乾杯の音頭を取った。
 カショエイラ・ド・マカク市のラファエル・ミランダ市長(45)も姿を見せ、「フンシャルの日本人はみんなアミーゴだよ」とあんこ入りのもちを頬張っていた。
 その場で景品があたるリッファも販売され、数字が読み上げられるとともに歓声が沸き、参加者らはつきたてのもちの雑煮や、持ち寄りの料理を堪能しながらの歓談を楽しんでいた。
 第1陣で入植し、現在も移住地に住む脇坂チヨさん(67、福岡)は、開拓から始まった入植当時を振り返りながら、「今日は沢山来てくれましたね」と会場を見回し、笑顔を見せていた。

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