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『日本語シンポ~10年後の日本語教育を考える~』について=ブラジル日本語センター25周年記念シンポジウム準備委員会

ニッケイ新聞 2010年9月25日付け

 今年ブラジル日本語センターは創立25周年を迎えます。その前身から数えるとさらに長い年月ブラジルの日本語教育の普及に携わってきました。そしてこの度、10月24日に『創立25周年記念日本語シンポジウム』を行うことになりました。
 これまで当地では日本語教育に関するシンポジウムが4回行われてきました。その対象は日本語教師であり、内容は時代の変化に合わせた授業や教授法など主に教師の技術改善・意識改善のためのものでしたが、今回は主な対象を日本語学校運営者、生徒、保護者など教師以外の学校関係者を対象にして実施することにしました。
 何十年も前から続けられている日系コロニアにおける児童への(継承)日本語教育は、時代の変化に伴い取り巻く環境も様々な面で変化してきています。そして一般的には、生徒数減少などにより、いわゆる「衰退している」状態であり、現在もその流れは止まっていません。
 その原因として様々なものがあるでしょうが、大きな要因として保護者や日本人会など日本語学校関係者の意識の変化があるのではないかと考えます。その顕著な変化として、日本語教育・日本語学校の良さや意義・価値に気付かなかったり知らなかったりする人が増え、またそれらに対する理解・協力・関わりが薄くなってきているということが挙げられます。
 「いい日本語の授業」は教師だけでも行えますが、「いい日本語学校」は教師だけでは作れず、保護者や日本人会など周りの協力があってこそ作り上げることができると私達は考えています。
 そして「いい日本語の授業」を行うために、ブラジル日本語センターや各地区では、教師に対する勉強会や研修会が行われています。そこで、今回は「いい日本語学校」「活発な日本語学校」にするために、保護者や日本人会など日本語学校関係者と共に考えていくシンポジウムにしたいと考えました。
 このシンポジウムに対して私たちが意図するところは、(児童に対する)日本語教育を発展させるため・盛り上げるための方策を教えることではありません。多くの日本語学校関係者に教育に対する意識を高めてもらい、また様々な取り組みを一例として提示することです。
 そしてさらに参加者に期待することは、日本語教育・学校の良さを再確認してもらい、新たな考えやアイデア、発想を知ってもらうだけに留めず、「そこで得たものをそれぞれの町・地域に持ち帰り実際に新たな取り組みを行うこと」です。
 またこうした日本語学校はブラジル各地に存在するにも関わらず、これまであまり繋がりがありませんでしたが、これらの日本語学校が地域を超えて集まって情報交換をし、それらを共有し、繋がりをもつことは非常に意義のあることで、これからの教育を進めていく上で必要不可欠なことではないかと考えます。
 このシンポジウムが今後(主に児童対象の)日本語学校の発展にどのような影響を与えるかは、どれだけ多くの町からどれだけ多くの参加者に集まって頂けるかが重要なポイントになるであろうと考えています。このシンポジウムで、「日本語学校をもっと盛り上げたい」「なんとかして日本語教育を活発にさせたい」という想いをお持ちの方は、その糸口をきっと見つけられると思います。身近にある日本語学校の関係者に声をかけて頂き、一人でも多くの方にこのシンポジウムに参加して頂けることを望みます。
 教師・保護者・学校運営者(日本人会)・ブラジル日本語センターなど日本語教育に関わる全ての人達の協力の先に、日本語教育の本当の発展があると信じています。このシンポジウムがその実現に向けた一歩となることを願っています。
 そして私達の大きな目標、ブラジル・汎米における日本語教育の普及・発展、日本語学校・教師の地位向上に少しでも近づいていきたいと思っています。
※シンポジウムについての問い合わせはブラジル日本語センター(11・5579・6513)まで。

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