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デカセギ帰伯7万人突破か=世界金融危機から1年=6万5千人がブラジルに

ニッケイ新聞 2009年12月25日付け

 世界金融危機が顕在化した昨年から、すでに7万人以上の在日ブラジル人が帰国している可能性が出てきた。日本の法務省が発表している出入国管理統計によれば、訪日就労者が大半を占める在留資格「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」で滞日するブラジル人の出国数から入国数を差し引いた数は、昨年10月から今年9月までの1年間で約6万5千人。まだ発表されていない10、11月の分を加えれば、その数はさらに増えると予想される。
 訪日就労者がもつ「永住者」など四つの在留資格で滞日するブラジル人のうち、昨年10月から今年9月までの出国者数は約8万9千人。入国者数は約2万3600人で、出国数から入国数を引いた約6万5千人が実質的な帰伯者数と考えられる。
 昨年9月のリーマン・ブラザーズ経営破たんで顕在化した世界金融危機。在日ブラジル人の出国者数は11月から増加に転じ、同月は5830人、12月は8476人、1月から3月までは月1万人以上に上った。
 4月以降9月までは5千~7千人前後で推移しているが、大きな減少はなく、10月以降も同様の傾向が続いていると考えられる。
 入国者数に関しては、今年に入ってからも月1300~1700人程度で推移しているが、再入国ビザでの入国者数とほぼ同じであることから新規の入国者はほとんどいないと思われる。
 一方で気になる点は、同期間に再入国許可をとって出国したブラジル人の数が約6万2千人いることだ。
 このうち約4万人は日本政府が帰国支援金支給を始めた今年4月より以前に帰国した人たちだが、支援金支給が始まった4月以降も約2万人が再入国許可を取って出国している。
 支援金を受給した人は原則3年間再入国を認められないこともあり、特に4月以降の2万人については、再訪日を視野に入れて自費で帰国した人たちと考えられる。
 日本国内での求人状況についてははっきりしないが、ブラジルへの新規求人はほとんどないのが現状だ。与党が製造業への派遣の原則全面禁止を進めていることもあり、デカセギをめぐる状況に好転の兆しは見られない。
 10月、11月の統計を加えればすでに7万人を突破していると見られる在日ブラジル人の帰国。日本に残る人たちの状況とあわせ、これら一時帰国者の来年以降の動向が注目される。

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