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伝道庁50年の歩み

ニッケイ新聞 2011年6月18日付け

 ブラジルで天理教の歴史が始まるのは、南海大教会(和歌山県)から布教のために信者10家族が派遣された1929年にさかのぼる。
 その一人だった大竹忠治郎氏(92年、享年88)が中心となり、布教活動を展開したが、戦時中に天理教のリーダーとして1年余り投獄。教会閉鎖、布教禁止という暗黒の時代を迎える。
 43年5月に出獄した大竹庁長は、バウルー市に近いアバイ郡で練成道場を開き、4年間人材の育成に心血をそそぐ。
 信者数が増えたことで全伯の教会を統括する組織が必要となったことから、交通の要所だったバウルーに51年、伝道庁の設置が決まり、同年9月中山正善真柱(2代目)によって鎮座祭が執り行われ、大竹初代庁長が祭主となり、設立奉告祭が盛大に催された。
 56年、教祖70年祭に101人が帰参したことを機に、本部は海外布教の促進を決め、海外伝道部と青年会本部が協力し、伝道庁が受入れ母体となって布教師の移住を目指す農業移民計画が進められる。
 57年10月第1回天理移民5家族が来伯。その後、66年までに33家族、単身者も含め総数184人。
 伝道庁設立当時は、教会9カ所、布教所13カ所、ようぼく約180名だったが、現在、教会87カ所、布教所310カ所、ようぼく6500人となっている。
 このたびの60周年を迎えるに当たり、南境内地に400名収容の多目的講堂、教室・会室棟を建築、09年末に竣工した。伝道庁は天理教ブラジル布教の基盤として確固たる存在感を示している。現在の信者数はブラジル国内に約3万人。

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