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日伯路線存続求める声続々=JAL=会社更生手続き開始へ=コロニアが継続に期待=日系社会全体で応援を

ニッケイ新聞 2010年1月20日付け

 日伯の空をつなぐ唯一の直行便を就航させているJAL(日本航空)は19日、株式会社企業再生支援機構に対して支援の申し込みを行い、同機構からの支援が決定した。また、併せて東京地方裁判所に対し会社更生手続開始の申立てを行い、同手続の開始決定を受け、これによりJALは企業再生の道を歩むことになる。この知らせを受け、日系コロニアから日伯路線存続を求める多く声が挙がっている。

 ブラジル日本商工会議所の会員で、運輸サービス部会の副部会長も務めるJAL。平田藤義同事務局長は「1978年、鶴のマークがカンピーナスの空港に着いた時の記憶が未だに鮮明に焼き付いている。国の、日系人の名誉にかけて何としても継続して欲しい」と熱いエールを送る。
 路線廃止が検討されていると噂された昨年11月、常任理事会で協議して、継続の願いを西松前社長と前原誠司国土交通大臣に出している。「日系社会全体として応援できれば」という思いがあったという。
 加えて県連、援協、文協、日伯文化連盟に連絡をとり、団体の枠を超えて、日系社会全体で応援していこうという話合いももたれた。
 一部報道によれば、京セラの稲盛和夫名誉会長が会長と最高経営責任者(CEO)に就任するという。同氏を塾長に仰ぐブラジル盛和塾は強い期待感を表す。世話人代表の板垣勝秀さんは「JALに限らず、塾長は今までにいろんな企業の再生をした実績がある。手法には企業の大小、業種に限らず一貫した哲学がある」と評価する。
 訪日6回を数えるプロミッソン在住の安永忠邦さん(二世)も継続を求める声を挙げる。日本政府が招待した日本語教育の研修生として1983年7月、JALで初訪日した。「ブラジル生まれでも日本人という意識が強すぎて」という安永さん。「全ての機内のサービスが日本式で、客室乗務員の日本の女性は優しかった」と振り返る。
 日本の上空で、機内から眼下に広がる田んぼを見た時には「あぁ、これが自分の祖国なのか」と感激して涙が出た。その時の感動は今でも忘れないという。「再度日本へ行く時は、絶対にJALのお世話になりたい」との願いを語った。
 日本航空サンパウロ支所の伊勢谷(いせや)光彦総務部長は、ニッケイ新聞の電話取材に対し、顧客に心配をかけないよう予約センターや空港などできちんと職員が説明できるような体制をとっているという。日本側から路線存続について特別な連絡はなく、今まで通りのサービスを提供するよう指示があった。
 伊勢谷部長は「このような状況になり、ご心配かけ申し訳ない」とお詫びした上で、「支援を受けながら、継続して今まで通りのサービスを提供していきますので、今後ともJALをご利用下さい」と述べた。なお、貯まっているマイレージは今後も維持され、利用できるという。

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