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伯日家紋研究所設立へ=「二世もルーツ調査に」=協力者増で日本と交流=勉強会行い歴史研究も

ニッケイ新聞 2010年1月28日付け

 「家紋で家族のルーツを調べませんか」。月2回、サンパウロ市の宮城県人会館で行われている青葉祭りで家紋の調査をする高橋幸衛さん(61、宮城)=スザノ市在住=が呼びかけ、活動を本格化させるためにブラジル日本家紋研究所(中沢宏一会長)を設立する準備が進められている。「二世、三世の人がルーツを求めて来るようになりました。私一人ではとてもやりきれませんので、協会にして協力者を求めることにしました」と動機を説明する。
 無料で行っている家紋調査には、毎月平均15人程度の申し込みがあり、多いときには30人来ることも。自宅には400冊もの関連資料があり、それにあたる。結果を伝えると、さらに興味が湧くらしく、「もっと知りたい、調べられないか」となるケースが多いという。
 そこで壁に突き当たる。あとは日本の県庁や地元の家系研究団体などに協力依頼をしないと、先に進まない。そのような団体に調査を依頼するには、個人では限界がある。そのため、家紋研究所を発足させることになった。
 家紋調査を始めたきっかけは、「子供から同級生に高橋という苗字が4~5人いるけど親戚なのか」と聞かれたこと。「説明できない・・・」と思った高橋さんは姓名に関する本を買い集めて家系を調べ、徐々に家紋にも興味が広がった。
 「今までは日本との交流がなかった。それが今後の課題。来月には発足させ、日本の歴史や文化の勉強会を定期開催し、年に1回は神社にお参りしたい」と抱負をのべる。「活動に興味のある人は青葉祭りに来て、申し込んで欲しい」と呼びかけた。次回の青葉祭りは2月6日、20日。同祭りでは高橋さんが製作したコンクリート製の家紋を台座付き(30レアル)で販売中。
 山形との県境で次男として生まれ育った。「長男との差別がひどかった。親父に反抗する原因の一つがそれ。中学3年の二学期に移住を決意し、単独渡航のできる18歳まで技術を習い、宝石研磨師として渡伯しました」。長男尊重の伝統的な家のあり方に反発して渡伯したが、自分の子供の質問がきっかけで逆に家系に目覚めた。「ルーツはおもしろい。もっとコロニアにも広めたい」。