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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年2月4日付け

 ため息をつきすぎて呼吸困難に陥った1週間だった。まずはブラジル文化福祉協会。それぞれのタイプがあるのは重々承知の上で、木多喜八郎会長の存在感のなさを痛感した▼「美空ひばりフィルムコンサート」事業は、予算案も企画計画書もないまま理事会を通過。これだけでも機能不全を知るに十分だが、評議員会では内訳のない予算30万レアル(その後20万レに修正)が強行採決された。木多会長は「金額は私も初めて知りました」と笑顔で頭を掻いた▼文協の歴史初のアゴ足持ちイベント。利用されているとしか思えないが、収支計画もないまま〃慈善事業〃を強調する頃末アンドレ実行委員長、「ひばりさんは日本文化」と声高に訴える中平マリ子女史、評議員会の手法を咎める記者に「多数決が民主主義だ!」と声を荒げる吉岡黎明理事▼記者会見が行われたのは会長室。机の隅で押し黙っている部屋の主は、選挙当選後、抱負を聞いた記者に「やれと言われたからなったんで、分かりません」と答えていたが、考えているうちに実権は他の理事に握られてしまったようだ▼76万レアルの資産が霧散した神奈川文化援護協会。事情説明が行われ、会館売却が決議されるというのに、本来全ての責任を負うべきの村田洋会長、芝居気たっぷりに「辞職願」を読みあげ、これでお役御免とばかりに昼食を楽しんだ▼今年、文協は創立から55年目を迎える。神奈川協会でいえば、県知事だった内山岩太郎氏(故人)の個人資金で前会館が落成したのが45年前。この混迷状態で、遺徳を偲べば先人は草葉の陰でどのような顔をするだろうか。(剛)

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