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■ひとマチ点描■〝活きた〟県費研修制度

ニッケイ新聞 2010年2月12日付け

 「日本で研修しました!」といっても帰国後、全く違う職業に就いたり、最初から〃お金の掛からない観光旅行〃と割り切られている現実に、ため息をつく県人会関係者も多い。
 香川県は1972年から研修制度を設け、現在でも南米から3人が毎年、讃岐の国を訪れる。
 昨年、ブラジルからは生駒回理=右=(えり、二世、24)、渡辺ジュリアーナさん(三世、26)が参加。約半年間の研修成果を7日にあった県人会の新年会で発表した。
 美容師になるのが夢という生駒さんは、「言葉使いや仕事の厳しさを勉強できた」と振り返る。研修先となった美容室では、その素直な性格と熱心な姿勢が認められ、独自に研修を受け入れてもらえることに。
 「2月末から3年間、しっかりと日本の技術を学びたい」と再訪日に向け、張り切る。
 渡辺さんは、県の観光交流局や近畿日本ツーリストで研修。「2年前に初訪日したけど観光だけ。今回は生活習慣も学べた」と日本文化にも関心を高めた。今年、家族で旅行会社を立ち上げる。
 「日本を知りたいブラジル人のお手伝いができれば」と笑顔を見せ、「もちろん県人会もお手伝します!」
 高松市内の飲み屋でホステス志願と間違われ、「お姉ちゃんたち、働いてみる?」と勧誘を受けた、と笑う二人。飲む機会も多かったようで、県人会の新年会では、缶ビールも〃口飲み〃と日本流だ。
 菅原パウロ元会長は、「ジュリアーナは日本語がすごく上手くなった。二人とも日本が大好きになり、研修で人生の進路を決めたようで本当に良かった」と目を細めていた。      (剛)

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