ホーム | 日系社会ニュース | 支援4トンを熊本被災地へ=サビジャとABCジャパン=片道16時間かけ現地入り
熊本まで運んだ橋本さん(左から2人目)ら
熊本まで運んだ橋本さん(左から2人目)ら

支援4トンを熊本被災地へ=サビジャとABCジャパン=片道16時間かけ現地入り

 「国籍は関係ない。今こそ外国人が手を取り合って行動すべき」。一連の熊本地震に関しNPO「在日ブラジル人を支援する会」(Sabja、東京都目黒区)や「ABCジャパン」(神奈川県横浜市)が、4トンの支援物資を現地まで届けた。運搬した橋本秀吉さん(52、三世)は助け合いの精神を呼びかけつつ、「寄せられた物資に感謝。だが被災者は喜ぶ余裕もないようだ」と複雑な胸中を明かした。

物資を積み込む関係者(ともにサビジャHPより)

物資を積み込む関係者(ともにサビジャHPより)


 震災初日からちょうど1カ月――。先月14日夜の震度7を前震に、今もなお1400回以上の有感余震を観測している。西日本新聞などによると避難者は最大20万人近くに上り、現在でも1万人余が避難生活を強いられている。
 ABCジャパンで理事長を務める橋本さんは、熊本に住む知人の日系人を通じ支援の必要性を強く感じたという。「『食料が無い。足りていない。届いていない』という悲惨な状況を聞いた。困った仲間を助けようと熊本まで運ぶことを決めた」。
 橋本さんによれば、熊本県内のブラジル籍者は登録上50人前後。群馬や東海4県に比べ圧倒的に少ないが、同県は最大のブラジル移住県であることから、「ブラジル関係者は凄い数になるだろう。ブラジル生まれで日本に住む帰化人や元移住者も現地にはいるはず。それに国籍は関係ない。日本で生活する外国人が手を取り合って行動するべき。11年(の東日本大震災)の時もそうだった」と、助け合いの精神を強調した。
 両NPOが呼びかけ、関東近隣から合計4トンもの生活必需品が寄せられた。橋本さんらは先月23日、集まった缶詰や飲料水、紙おむつなどを1400キロ先の熊本まで16時間かけて届けた。
 当時の状況は、思いのほか酷かったようだ。「物資を届けても、被災地で暮らす彼らに、まだ喜ぶ余裕はなかった。余震も続いていて、不安な気持ちばかりが取り巻いているようだ。私たちもまた物資を届けに行く予定だが、『受け入れ態勢が万全ではないから、まだ来ないでほしい』と聞いている」。
 一大集住地の群馬ほか、豊橋など日本各地からも物資が届けられた。ガレキ処理といった肉体労働で貢献する者もいるという。日系人も一体となった支援は今も続いている。


□関連コラム□大耳小耳

 ネットで熊本の被災地写真を見ていると、倒壊した家で、屋根にソーラーパネル(太陽光で発電する設備)をつけたものを見かける。作った電気を電力会社に売ることができ、近年日本で流行している。でも設置費用は高額で、元を取るのに10年かかると言われている。設備が壊れたら元も子も無いので、以前から「地震が来たらお終い」とも揶揄されていた…。この被災者の心労はいかほどか。本日のトップ記事にあるような在日ブラジル人や、ブラジルからの支援で少しでも苦痛を和らげたいところ。