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SPファッションウィークで好評=OESTUDIOの緒方さん=〝チューニング〟のおしゃれ=「日系人にも知ってほしい」

ニッケイ新聞 2010年2月16日付け

 サンパウロファッションウィーク(SPFW)が、1月17~22日にイビラプエラ公園のビエナル館で開催され、44人のデザイナーにより2010年度冬のコレクションが公開された。21日にはデザイナーの緒方信行さん(32、広島)率いるデザイン会社「OESTUDIO」が参加し、好評を博した。
 緒方さんはイタリアのベネトン社デザイン研究所で2年間学んだ後、2001年に渡伯。同年OESTUDIOを設立し、世界的な企業の広告やウェブデザインを手掛けてきた。
 北京五輪のブラジル代表ユニホームをデザインしたことでも知られる。ブラジルで、五輪代表のユニホームを外国人が手掛けたのは初めてのことだ。
 堤寿彦さん(56、熊本)と妻早苗さん(55、熊本)が共同経営者として加わり、昨年12月12日リオのイパネマで第1号店をオープン。これまでにリオファッションウィークに4回、サンパウロファッションウィークには6回参加している。
 今回のショーでは、モデルを歩かせるのではなくビデオ映像を使って演出し注目を浴びた。緒方さんは「映像を使い服の各部に焦点を当て、洋服の面白さを伝えたかった」と語る。
 今回のテーマは「チューニング(調律、調整)」で、その言葉に込められるのは「現在あるものをどうやって保っていくか」というメッセージ。緒方さんは、「人生や仕事、何においても調整を行うべき時期があるはず」と伝える。
 ファッションでは、「ベーシック+1」の発想から、変化を1点加えて「チューニング」を図る。ジッパーやボタンなどを使って着方を工夫できる要素をもたせた。
 「ジッパーやボタンの留めはずしで洋服の影の作り方が変わり、印象も大きく違ってくる。同じ服で違ったおしゃれを楽しめるように」と説明する。
 また、昨年7月からは科学技術省・国立技術院(INT)との共同で、デザイン性を求めた脳性麻痺患者のためのコルセット(体の歪みを矯正する装具)を開発している。その試作品がショーの中で発表された。
 パートナーのジョバンニ・ザニーニさん(27)は「素材や色、柄が工夫され、おしゃれ感覚で着用することができる」と紹介する。OESTUDIOは身体障害者のファッションも応援している。
 緒方さんは、「僕がこの地で、ファッション界で活躍できるのも移民が築いた歴史があるから。日系の皆さんにも知ってもらいたい」と笑顔で語った。
 「OESTUDIO」の住所はR. Maria Quiteria, 77, Ipanema, Rio de Janeiro、電話=21・2227・2119

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