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パラナ州アプカラナ=ブラジル最大規模の心臓病院=文協敷地内で建設進む=徳洲会が1千万ドル寄付=心臓外科の権威=バチスタ財団と提携

ニッケイ新聞 2010年2月18日付け

 心臓移植の代替手術「バチスタ手術」を考案し世界的に有名なランダス・ジョゼ・ヴィレーラ・バチスタ心臓外科医師(63)設立の「ヴィレーラ・バチスタ財団」が、昨年8月からパラナ州アプカラナ市のアプカラナ文協(石田健一会長)敷地内に心臓外科病院「オスピタル・トクダ・ブラジル」を建設している。総工費の1千万ドルは医療法人グループ「徳洲会」(徳田虎雄理事長)が寄付、今年6月の完成が見込まれ、ブラジル最大規模の心臓外科病院の開院に期待がかかる。

 ランダス医師は、拡張型心筋症に対する心臓移植の代替手術「バチスタ手術」を考案したことで世界的に知られる。同手術は、弱って肥大化した心臓を切り取って小さくする手術、特に臓器移植が許可されていない国で行われてきた。
 1990年代、心臓移植以外に助かる道はないとされる重病「拡張型心筋症」患者を救う新しい手術法として注目され、各国で試みられた。移植用心臓の不足からも重要視される技術だ。
 一昨年の日本移民百周年を機に、ランダス医師が設立した同財団の心臓外科専門病院の建設プロジェクトとして進められ、アプカラナ文協が約3・7アルケールの文協敷地面積のうち、野球場に使用されていた2万平方メートルを99年間無料で提供することになった。
 建設費の1千万ドルは、日本全国に265の施設を有し世界規模第3位の医療法人グループ「徳洲会」が寄付を行っている。
 建設工事は昨年8月に開始され、完成見込みは今年6月。1階建てで寝台を100床設置、ブラジルで最大規模の心臓外科病院となる。
 パラグアイの徳洲会南米支部代表・佐藤耕造医師は、「ランダス医師は貧しい人々のために一生懸命医療を尽くしてきた。建設中の病院は最新技術を備え、南米でも有数のものになる」と期待を寄せる。
 現在アプカラナ市にある病院はオスピタル・サンタ・カーザのみで、心臓外科は入っていない。心臓の治療を受けるには、25キロ離れた隣町アラポンガスまで行かなければならなかった。
 石田会長は、その点に触れ「アプカラナの住民のためになると文協も力を貸した。町の人は皆喜んでいる」と話す。
 ランダス医師は、「日本、日系社会両側の支援を受けて進められた。日系社会の中心地で、地域に根ざした病院をつくりたい」と力を込めた。

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