ホーム | 日系社会ニュース | 百年史農業編=田中規子氏、調整役をクビ!=「謝ることは何もない」=能力不足認めず、謝罪なし=7月刊行はほぼ絶望的

百年史農業編=田中規子氏、調整役をクビ!=「謝ることは何もない」=能力不足認めず、謝罪なし=7月刊行はほぼ絶望的

ニッケイ新聞 2010年3月4日付け

 「田中規子氏には辞めてもらうことにしました」――。ブラジル日本移民百年史編集・刊行委員会(森幸一委員長)は3日午後、文協ビルで記者会見を開き、農業小委員会の調整役をめていた田中氏を解任、4月末までに担当分の原稿の提出を求めたことを発表した。同史農業編は09年末の刊行予定だったが、田中氏の業務遅延により、今年3月、7月と刊行時期を延期してきたが、この状態では刊行は無理と判断したという。今年2月、委員会側から、田中氏に〃最後通牒〃ともいえる退任勧告文書が渡されていた。今後、調整業務は委員会全体として行っていく。

 同文書では、今月26日までにできている全ての各担当者の原稿提出、3月10日までに田中氏自身の原稿提出が要請されている。
 「度重なる口頭での指示を聞き入れていただけ」ず、以上の2点が遂行されなければ、「コーディネータ及び農業編執筆者としての責任が不在していると認識し、誠に遺憾ながらその任務からおりていただく」と締めくくっている。
 最初の1点に関しては、記者会見の前にあった会合で提出されているが、内容に関しては、田中氏に代わり、森委員長が査読を行う。
 2点目に関して田中氏は、「無理。仕事が私に過重にかかっていた。そのことは委員会にも伝えていた」と自身の責任はないとした。
 田中氏によれば、締め切りを一週間前に控えた現在の原稿の仕上がりは約6割だという。
 森委員長は、「端的にいえば、刊行事業に最も重要である時間厳守ができないのが彼女の問題」としながらも、「原稿は4月末までに書いてもらう。それが歩みよりの地点」と苦渋の表情を見せた。
 この編纂事業はブラジル日本移民の歴史を将来に残す意味で重要であり、JICAからも助成金が下りている。
 組織人としての歩み寄り意識の薄さ、自らの仕事の遅延や能力不足で、刊行時期を数度も変更させる要因を作り、調整役解任という事実上のクビであるにも関わらず、田中氏は「私は自分の仕事を全うした。執筆者の能力の問題もある。私が何を謝るのでしょうか」と最後まで関係者らに対する謝罪の言葉はなかった。
 今後、編纂委員会と農業小委員会が共同作業で役を担う。即急に森委員長を中心に提出されている分の原稿を読み、全体構想を練り直した上で、日程も含めて農業編関係者と調整する予定。
 森委員長は、「7月の刊行は若干遅れるかも知れないが、今回の田中氏解任により、編集作業が加速化することを信じている」と話し、「あなたは自分の原稿を書くことだけ考えてください!」と厳しい口調で田中氏に言い渡した。

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