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二世とニッポン語問題=コロニアの良識にうったえる=アンドウ・ゼンパチ=第18回・終=ニッポンを伝えるために

ニッケイ新聞 2010年3月12日付け

 ニッポン語の本や雑誌が自由に読めるような教育は、大部分の二世に望まれることではなく、ある限られた、いい条件のもとに、あるものにできることで、コロニアの日語読本の目的は、完全な初等教育ということを目ざすべきである。
 ところで、ニッポンの本がよめなくてはニッポン文化の理解ということは望めないだろうといううたがいが起る。しかし、ニッポン語の本を通じて、ニッポンの歴史や地理や文学や、その他の文化を知ることは、ニッポン語をよむ目的でならったものでさえ、その大部分のものには不可能なのが実状である。だから、コロニア版日本語読本で習うものに、それができなくても、すこしも非難される理由にはならない。
 けれども、二世のニッポン文化に対する興味と理解を深めることは、一世と二世とが協力してコロニアを繁栄させていくために、ひじょうに大切なことなのだから、これが、ニッポン語を通じてやることが困難である以上、他の方法を求めてでも、ぜひやるべきである。しかし、その方法についてはべつに思案することはいらないので、二世にとって、分りやすいポルトガル語でニッポンの歴史、地理、文学その他の文化を紹介した本をいろいろ出版すれば、その目的はじゅうぶん達せられるのである。
 そういう意味で、数年前ジョゼー・ヤマシロ氏が出したPequena Historia do Japao(ニッポン小史)や、古野菊生氏著、ジョゼー・ヤマシロ氏訳のLendas Amigos do Japao(ニッポン昔物語)などのような出版は、まことに有益である。このような著書が、つぎつぎ計画的に出版されるような組織がつくられたら、二世にニッポン文化を紹介する目的は、りっぱに達成されるだろう。
 ヤマシロ氏のポ文日本小史をよんだ、ある二世の大学生が、ニッポンが千年前に、ヨーロッパにもないような、すぐれた文化をもっていたことを初めて知って、驚嘆すると共に、ニッポン文化に対する尊敬の念を深くしたと語ったことがあったが、同じような驚きを感じたものは、ほかにも、たくさんあるだろう。ニッポン語の本をよんでからといっていたのでは、このような効果は、大部分の二世には、結局、望まれずじまいであろう。(おわり)

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