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青空学級=新教室を友好病院隣に開講=援協=法人登録も無事完了=生活療法の普及目指し

ニッケイ新聞 2010年3月16日付け

 サンパウロ日伯援護協会のサンパウロ自閉症療育学級「青空学級」(PIPA=菊地義治代表)は、サンパウロ市パルケ・ノーボ・ムンド区の日伯友好病院隣に新教室を開講し、13日午前晴天のもと開講式を開催した。後藤猛領事、JICA職員の村上ヴィセンテさん、保護者ら約80人が出席し、新たな門出を祝い、子供たちの健やかな成長に期待を込めた。

 2006年に開講した同学級は、現在生徒6人。日系人は、矢野顕人君(11、三世)と佐伯ひろし君(12、三世)の2人。
 これまでヴィラマリアーナ区にある本門仏立宗日教寺内で活動が行われてきたが、このほど、CNPJ(全国法人登録番号)を取得するにあたり、日伯友好病院近くの平屋を借り、独自の活動拠点を構えることになった。
 開講式では、テープカットに続き、同寺の住職コレイア教伯が経を読み上げ、「お寺の中で育まれた精神を毎日の学習の中で活かしながら、発展していってほしい」と祝いの言葉を述べた。
 菊地代表は、「やっと正式な法人登録を取得できた。今後も、子供たちが社会に溶け込めるよう必要な教育を施していきたい」とあいさつ。
 後藤領事は、「新たな教室での子供たちのさらなる成長を祈る」と述べた。
 その後の学習発表会では、なわとび、バランスボール、一輪車が披露され、生徒たちの成長ぶりに来場者からは感嘆の声が漏れた。子供たちから、来場者全員に手作りのプレゼントが手渡された。
 平屋を改装した新しい施設には、2つの教室に中庭、台所、応接室などが設けられた。教室、廊下には生徒たちの図画工作が飾られ、明るい雰囲気が漂う。
 ひろし君の母春美さんは、「今までは調理実習も教室で行っていたが、これからは広い台所で料理ができる。晴れた日には、中庭で伸び伸びと工作ができる」と喜ぶ。
 今月8日から、すでに新たな教室で授業が始められたが、生徒たちは新しい環境に動揺することはなかったそうだ。
 同教室で指導にあたるJICA日系シニアボランティアの平林美代子さん(65、神奈川)は、「移ってまだ1週間ですが、うまく順応しています」と安心した表情をみせる。
 菊地代表は、「法人登録を済ませ、これからは公に活動ができる」と話し、「ブラジルではまだ珍しい生活療法という同学級の自閉症児教育が、社会的に認められるようになれば」と期待を込めた。
 今後は、より多くの自閉症児の受け入れを行っていく予定だという。

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