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日本企業の日系人活用は=大阪商大から2教授が調査に=「文化の橋渡しができる存在」

ニッケイ新聞 2010年3月30日付け

 日本企業の日系ブラジル人の活用について研究を行っている大阪商業大学総合経営学部の古沢昌之教授(46)、安室憲一教授(63)が調査のため、14日から20日までブラジルを訪れた。滞在中は日系企業、日系団体関係者などに聞き取り調査を実施。16日に本紙を訪れ感触を語った。
 同プロジェクト「日本企業の国際人的資源管理における『日系ブラジル人の活用』に関する研究」は文部科学省の09年度科学研究費補助金を受けて3年計画で行われるもの。
 両教授は昨年、日本で資料収集、文献調査などを行い、このたび、「日系企業がどういう形で日系ブラジル人を活用しているのか」調査するため初来伯した。
 両教授によれば、ブラジルのマクロ経済や日系社会についての研究はあるものの、企業経営や人的分野についての研究は少ないという。「世界にない規模の日系人がいるブラジルには、日本企業にとって心強く、文化の橋渡しができる人材が多くいると思う」と強調する。
 国際経営が専門の両教授は、高速鉄道計画などブラジルのインフラ整備事業の可能性を挙げ、「日本の中小企業にとっても魅力的な進出先になる」と語った。また古沢教授は、「文化的アイデンティティを保ったまま共存しているブラジルは、米国とは違うグローバルモデルになると思う」と述べた。
 今回の来伯を初めに、来年以降再び現地訪問、企業回りなどを行っていく予定。さらに、日本でも在日ブラジル人の調査を行っていくという。
 安室教授は、少子高齢化に伴い日本の人口が1億人を割る時代が来るとし、「内なる国際化が必要」と指摘。在日ブラジル人の存在をその第一歩と位置づけ、「ここで失敗したら、日本の多民族化は閉ざされてしまう」と語った。

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