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モルタデーラを日本式生産=Ceratti=伯国風に改良して大成功=「でも伊人は食べない」=静岡でも日系向けに生産

ニッケイ新聞 2010年5月14日付け

 イタリア伝統の味を、日本の品質管理により、ブラジル風に適応させて大成功――。「うちのはイタリア人は食べません。〃ブラジルのモルタデーラ〃です」と笑うのは、大手精肉加工会社CERATTI社のマリオ・ベネデッチ社長(56、イタリア系三世)だ。大の日本びいきで知られ、訪日回数は1992年以来8回を数え、04年にビニェード市に竣工した最新鋭の工場には「おまもり」という名前まで付けた凝りようだ。「ボローニャ風モルタデーラ」と商品説明には書かれているが、実は「ブラジル風」といったほうが適当な存在。この味は在日ブラジル人にとっても〃ふるさとの味〃となり、世界で唯一、同製品を静岡県でライセンス生産している。

 工場を訪れると足ふきマットには大きく「OMAMORI」と書かれている。僧侶のような坊主頭をしたベネジッチ社長は、「日本で研修して品質管理の考え方を学んできた。その成果がこの工場に結晶している」と強調した。
 三世だが家庭内ではイタリア語を使う。ベネデッチ社長は「うちの家族はみんなイタリアのパスポートを持っているし、娘もイタリア語しゃべるよ」という筋金入りのイタリア系だ。
 しかし、考え方は日本式がいいと力説する。「日本の交通機関、遵法精神、子供の教育など社会のあらゆる面の組織力に驚かされた。日本人はブラジルに来て、さぞデスオルガニザード(無秩序)だとあきれているだろう。少なくとも私は、自分の会社の扉を入ったら日本のように組織的にし労働者を尊重しようと思った。それは製品の品質に現れているはず」。
 祖父の国と伯国を「イタリアの神髄は美食、快楽、美術だが、ブラジルは混淆文化であることが特徴」と比較し、「だから私は日本の考え方を持ち込んだ」と独自色を打ち出した。
 イタリアのモルタデーラは豚肉しか使わない。しかし、ブラジルでは牛肉が安くて一般的。一代目のジョバンニさんは半分牛肉で試したところ好評で、さらにニンニク、塩、胡椒を増量してブラジル風の味を作り上げた。37年間も同社で働く生き字引、ジョゼ・ジャネルシオ・デ・リマさんによれば「その試行錯誤の結果、イタリア人からはフォルチ(強烈)すぎると敬遠されるようになった」という。
 おかげで欧州輸出は望めないが、国内では「モルタデーラならセラッチ」との圧倒的な存在感を誇るようになった。
 01年からは静岡県浜松市で日系人が経営するI・B・FOX社(玉田正利社長)が在日コミュニティ向けにライセンス生産を始め、月産30トンだという。伯国から秘伝の50種類を混ぜたエキスを輸出して、オーストラリア産牛肉に混ぜて日本で〃ふるさとの味〃にしている。

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