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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年5月22日付け

 ブラジルの牛肉はとても美味になり、欧州での人気が高く世界一の輸出国である。ところが―である。日本は南米からの牛肉輸入を禁止している。今、大騒ぎしている口蹄疫(アフトーザ)が多発するために危険防止の観点からの措置だが、それほどにこの病気は怖い▼もう古い話だが1968年だったかに労働大臣の早川崇氏が来伯し「ブラジルから牛肉を輸入したらいい」と語り、総領事館が「否定発言」するなど物議を醸したことがあった。その時に農水省から出向していた領事から聞いたのだが、「日本では1909年から現在(1968年)まで口蹄疫は発生していない」と、国を上げての防疫体制を誇っていた▼この農務官僚の自慢を打ち破ったのが、2000年3月に宮崎県で92年ぶりの口蹄疫であった。そして―今度もまた宮崎県である。余りに早い疾病の広がりに東国原知事は、非常事態を宣告し防疫に一所懸命だが、結局は―牛と豚を32万頭かを殺処分するしかない。電子顕微鏡でしか見えないこのウイルスは、風に乗ると陸上で65キロ、海上だと250キロも飛び感染するとされる▼日本の味・松坂牛も宮崎の種牛の血統を継ぐものが多い。あの霜ふり豊かな牛肉を生み出す種牛も危機が迫り緊急避難したが、安全の保障はない。口蹄疫が面倒なのは、目下のところ治療の方法がなく、真に哀しいことながら注射などで殺害するしかない。牛や豚を飼う農家の人たちは、涙をこら堪えて畑に巨大な穴を掘り可愛がって育てた牛や豚の墓場にしているそうだが、この苦しみを乗り越えて頑張って欲しい。(遯)

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