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セラードの今を歩く=家の光編集部・佐藤哲也=(2)=ミナス・ウナイの農協を訪問

ニッケイ新聞 2010年5月28日付け

 セラード農業開発では、1~3次にわたる試験的事業を経て、本格的な入植が始まった。まず、1次試験地として入植が始まったのがブラジル南東部にあるミナス・ジェライス州だ。そのミナス・ジェライス州のウナイ市にあるコアノール農協を訪ねた。
 ウナイは首都ブラジリアから南東に約200kmにある街。まっすぐに伸びる幹線道路を猛スピードで走る自動車に混じり、大豆やトウモロコシ、コーヒーを積んだトラックがゆっくりと走っている。秋(3~4月)になると、何台ものそうしたトラックとすれ違う。
 道路のところどころには穴があき、赤茶けた土が見えている。アスファルトの質が日本ほどよくなく、大型トラックの重みで穴が空いてしまうのだ。補修しては穴があくという繰り返し――。それだけ、トラックの行き来が多い。
 農協に到着すると、大豆を積んだ生産者のトラックが出荷を待っていた。出荷前にサンプルが採られ、大豆のさややごみなどの不純物の割合を量る。
 「今年は、雨が降らないベラーニコが45日も続いて、生産量が3分の1くらい減るんじゃないかと心配しているんだよ」
 そう話すのは、ウナイにあるコアノール農協の組合長を務めるイルモ・カザヴェーキア氏(57)。
 ブラジルでは、通常、雨季と乾季がはっきり分かれていて、11月から翌2月にかけてが雨季となる。その雨季のなかに雨の降らない期間(乾期)があり、それを「ベラニーコ」と呼ぶ。
 通常、ベラニーコは1~2週間なのだが、年によっては、1か月以上になることもある。今年は特別で、ウナイでは、1か月半もベラニーコが続いたというのだ。栽培に必要な水の多くを雨に頼っているため、ベラニーコの長さは収穫量を左右する。
 農協の施設を見学し、昼食をとった後、イルモ氏が、「それじゃあ、農場に行こうか」という。車に乗り込み、出発するが、なかなか着かない。農協からどのくらい離れているのだろうかと不安になる。
 「だいたい80キロ移動するよ。舗装された道路が50、未舗装が30キロ」
 イルモ氏は質問を待たずに話した。彼はたいしたことなさそうに言うが、未舗装の30キロの道中では、昨夜降った雨で道がぬかるみ、大豆を積んだトラックが立ち往生している所もあった。そのため、農場に着いたのは夕方だった。
 以下、イルモ氏の農場での見聞である。
 イルモ氏は、648ヘクタールの土地を持ち、そのうち、150でコーヒー、310で大豆を作っている。それ以外の約190は保留地にしている。
 セラードを抱える多くの州では、国の施策で、農地の20%は保留地として保有することが義務づけられているからだ。保留地は、川や水辺に近い土地などで乱開発を防ぎ、水資源を保護する意味もある。(つづく)

写真=未舗装の道路ではときおりトラックも立ち往生

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