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日伯農業連携の強化を=エックス都市研究所が連携会議開く=農協関係者30人が参加=総予算は1億円強

ニッケイ新聞 2010年8月4日付け

 全国農業拓植協同組合連合会(JATAK)に代わり、本年度の『食料供給安定化国際農業連携対策事業』を実施する「エックス都市研究所」(本社・東京)がサンパウロ市内リベルダーデ区のホテルで29日、ブラジル、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチンの日系農協関係者ら約30人を集め、「第1回連携会議」を開いた。農業協同拓植協同組合中央会(農拓協、近藤四郎会長)との共催。事業の説明に来伯した鈴木進一常務取締役は、会議後の記者会見で「一緒にやろうという姿勢を感じ、心強い限り」としながらも「今年は勉強。来年に繋げたい」と話した。同事業の予算は1億円強。

 エックス都市研究所は、今年創立から40年を迎えるシンクタンク。農業関連事業としては、アジアでの土壌改良事業や熱帯雨林の保全、バイオマス普及などに携わっている。
 JATAKが受託してきた農水省の同事業が本年度から公募制となったことを受け、応募、採用されている。
 今回の事業について、環境コンサルティング部戦略的バイオマスチームマネージャーの秦三和子氏は、「アメリカや中国からの輸入に頼っている状況のなか、災害発生などの状況も踏まえ、安定した食料供給を図るため南米日系農協との連携を図ることが目的」と説明、事業の3本柱として『アグリビジネス創出事業』『農業情報ネットワーク事業』『農業技術開発普及事業』を挙げた。
 「距離や費用など難しい点もあるが、日本、ブラジル双方のニーズを取り入れ、関係を築いていきたい」と意気込みを示した。
 年に4回実施する連携会議のほか、日本から関連団体の派遣や活性化セミナーも行っていく予定だという。 
 ブラジルに事務所がないことについて、鈴木常務は、「単年度の契約なので来年は公募に漏れる可能性もありリスクが大きい。事務所の設置は検討中」としながら、自身が月一度は来伯するとした。
 送金などに関する受け皿団体がないことについては、「どういう形で可能なのか模索している」と述べるに留まった。
 近藤会長は、「非常にオープンでざっくばらんな印象を受けた。農拓協としても全面的に協力していきたい」と話している。

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