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サンパウロ市パステルコンテスト=『Pastel da Maria』=与那覇さんが2度目の優勝=暖簾分けに応募者多数

ニッケイ新聞 2011年9月13日付け

 「将来は、サンパウロ全州、ブラジル全土、そして海外!」——。白いボネを逆さにかぶり、威勢よく夢を語る与那覇〃マリア〃邦子さん(59、大阪)が経営する『Pastel da Maria』。昼時は、入り口にまで注文を待つ客の列ができる人気ぶり。それもそのはず、サンパウロ市が7月に開催した「第3回パステルコンテスト」で第1回に続き、2度目の優勝を勝ち取った名店だ。

 サンパウロ市フェイランテ協会(小坪ミノル会長)に登録するパステルの屋台(バラッカ)は700。そのうち150が同コンテストに応募した。
 有名シェフや料理評論家、ジャーナリストらが味、対応、衛生の3点から審査を行う。対象はカルネ味(ひき肉)のみ。
 「うちの一番人気。美味しさの秘密は冷凍レモンの皮のすりおろし。味もそうだけど、清潔、笑顔、見栄えの良さが認められたのでは」とマリアさんが語る店内は、紅白で統一されている。
 「目を引くし、目出度いでしょ? お客さんにボアソルチが来るようにね」と笑顔。
 50人の従業員全員の制服を持ち帰り、洗ってアイロンを掛けるのも毎日の仕事だ。「昔に比べたら、洗濯機ができて千倍楽になった」
 11歳で家族と来伯し、学校に行ったのは2年間だけ。13歳から父のパステル売りを手伝い、家計を支えた。
 「次の日の生地や具を作るため、夜8時に寝て夜中12時には起きて仕事した」。まさにパステル作りに捧げた人生を歩んだ。
 その苦労と情熱が認められたかのように第1回パステルコンテストで見事優勝。その後は客も増え、カーザ・ベルジ区に工場も作り、曜日毎に各フェイラで常連の舌を満足させている。
 自分のパステルの味をもっと広めたい——その夢も夢で終わりそうにない。暖簾分けを公募すると「問い合わせが絶えない」と顔をほころばす。
 フェイラ協会の小坪会長は「味はもちろん、マリアさんの愛嬌の良さも人気の秘訣。これからも皆に美味しいパステルを作ってあげてほしい」と話している。
 『Pastel da Maria』(Rua Frandique Coutinho, 580, Pinheiros、電話=11・2373・7071)。HP(www.pasteldamaria.net.br)ではメニューやフェイラ情報を見ることができる。

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