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商議所日本はアジア、ブラジルと発展を=島内駐伯大使が帰国あいさつ

ニッケイ新聞 2010年8月21日付け

 ブラジル日本商工会議所(中山立夫会頭)の月例昼食会が13日に開かれた。今月は定例行事のほか、9月に帰国することが決まった島内憲駐伯大使の歓送会が開かれ、100人以上が訪れた。
 歓送会の冒頭中山会頭は、移民百周年や地上デジタル放送の南米への普及、日伯貿易合同委員会の設置など、様々な案件で陣頭指揮をとった大使に感謝を表し、さらに11月末に控えた高速鉄道プロジェクト入札についても「日本連合で応札体勢の整備に尽力している」と報告した。
 06年10月に着任。一国の勤務としては最長だったという島内大使は「歴代大使でこれほどブラジル、日伯関係の変化を目の当たりにした人は少ない。幸運だった」と任期を振り返った。
 08年に皇太子さまを迎えて行なわれた移民百周年の諸行事にも触れ、「会議所や日系団体、ブラジルのアミーゴと祝えた。一生の思い出になる」と語った。
 着任時「半信半疑の人が多かった」日本のブラジルへの関心は、「大きく様変わりした」と島内大使。「BRIC内で最も安定感があり、信頼して付き合えるという評価が確立した」と現在のブラジルを位置づける。
 さらに、「日伯間には他国にない良い条件が整っている。移住者が長年の努力を通じて日本人に対する高い評価を勝ち取り、企業プロジェクトも日頃の努力によって強固な信頼関係が築かれている」とし、「ブラジルは世界一の親日国」と改めて強調した。
 今後の両国関係については、「関係者が日本に対し、各論、具体論に踏み込んだ有益な情報を提供する必要がある」と話し、自身に関しても「現役は退くが、ブラジルで見、聞き、考えたことを、できるだけ日本の人たちと共有したい」と述べた。
 南米各国で採用が決まった日伯方式の地上デジタル放送規格については「新しいモデルができあがった」と成功を喜び、さらに高速鉄道についても、日本の技術、経験を強調し「ぜひ成功していただきたい」と語った。
 最後に大使は、「日本は現在アジアとともに発展しているが、そこにブラジルを加えるべき。アジアとブラジルから元気をもらって成長を確保する。日本はそれができるユニークな国だと思う」と将来へ期待を表した。
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 当日は環境コンサルタントのマルセロ・ロッシャ氏が「カーボンクレジットの未来」と題して講演したほか、リオ州レゼンデ市の担当者が訪れ、同市への投資呼びかけを行なった。

会議所見つめて33年=山田監事会議長が勇退

 昼食会の席で、10年にわたって会議所の監事会議長を務めた山田唯資さん(85)が6月11日付けで同職を退任したことを報告し、新議長の中村敏幸氏とあいさつに立った。
 54年に渡伯、73年から会議所会員企業である山田さんは、77年に選出されて以来18期33年間監事の職を務めた。「任期終了まで監事会の一員として中村議長を全力で補佐したい」と話すとともに、「ふつつかながら現在まで監事を仰せつかったのは、歴代会員のご協力、ご厚情の賜物。一生忘れられない名誉な事」と感謝の言葉を述べた。

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