ホーム | 日系社会ニュース | 文協で第1回全伯俳句大会=流派超え各地から参集=兼題に250人が投句

文協で第1回全伯俳句大会=流派超え各地から参集=兼題に250人が投句

ニッケイ新聞 2010年9月1日付け

 ブラジル日本文化福祉協会の創立55周年を記念した第1回全伯俳句大会が8月22日、サンパウロ市の文協貴賓室で行なわれた。当日はマナウス、マット・グロッソ、パラナなど地方からの出席もあり、全伯の名に相応しい約120人の俳句愛好者たちが集結した。

 ブラジルを代表する四つの結社が流派を超えて実施する合同句会となった全伯俳句大会。文協のにっけい文芸委員会が発案、担当した。
 大会に先立って募集された兼題部門には、252人から1254句が寄せられ、12人の選者により特選、秀作が選ばれた。
 当日は席題の発表と浜照夫実行委員長の開会の辞で始まり、先人へ黙祷を捧げた。文協からは代表して山下譲二副会長が挨拶した。
 席題の選者は、栢野桂山、星野瞳、間嶋稲花水、富重久子の4氏。代表して栢野氏が祝辞を述べ、さっそく句吟に専念した。
 高齢者となった先輩をいたわりながら、一日を和気あいあいに句作三昧で過した。90歳を超えて参加した人からは「まだまだ現役、頭の体操にもなります」と元気な声も聞かれた。
 主催者側は、俳句人口が減少傾向だが〃これは大切な日本の文化〃ぜひ継続して行きたいと話していた。
     ◎
 兼題および席題の特選句は次の通り。その他の作品は後日掲載する。
【兼題部門・特選】
〔栢野桂山選〕
リベイラの流れにのりて茶摘唄
    サンパウロ市 香山和榮
〔星野瞳選〕
恐竜の食べしと思ふわらび狩る
    モジ 村上士郎
〔伊那宏選〕
花舞いて風の形を見つけたり
    サンパウロ市 半澤典子
〔杉本絃一選〕
確かなる大地の鼓動青き踏む
   サンパウロ市 西山ひろ子
〔大熊星子選〕
桜咲く異郷が終の住処なる
    サンパウロ市 加藤淑子
〔池田童夢選〕
日本館たずねて雛の客となる
    サンパウロ市 真藤浩子
〔西谷南風選〕
離農せず子らに頼らず種を蒔く
    サンパウロ市 水野昌之
〔小斎棹子選〕
春耕やテーラロッシャによみがえる
    グァタパラ
      黒沢志賀子
〔広田ユキ選〕
蒲公英の綿毛に乗せるほどの夢
   スザノ 藤倉澄湖
〔浦畑艶子選〕
なぜ此処で車と出合ふ春の泥
    モジ 村上士郎
〔間嶋稲花水選〕
晩年に備えて葡萄接木せり
  サンタマリアーナ
       斉藤勝利
〔富重久子選〕
陽炎にふわりと離陸複葉機
    アリアンサ
       新津稚鴎
   ▽   ▽
【席題部門・特選】
〔栢野桂山選〕
森の風木の芽起しの楽奏で      大熊星子
〔星野瞳選〕
黄金の命極めてイペー咲く      原はる江
〔間嶋稲花水選〕
皇后の詠みしイペー咲き初むる    半澤典子
〔富重久子選〕
選者等の胸のリボンよ春灯下     小斎棹子

image_print